〈BD〉「最後まで一生懸命撞けました」――球聖戦挑戦者・中野雅之選手の談話

 

先週末の『球聖位決定戦』で、

球聖・喜島安広に挑み、

惜しくも敗れた中野雅之選手

(広島。HPBC)の談話をお届けします。

 

表彰式直後にお話をうかがいました。

 

…………

 

――敗れてしまいましたが、

球聖位決定戦の感想を。

 

「喜島球聖が上手でした。

その一言に尽きます。

 

やっぱり彼は高い高い山ですね。

なかなか越えていくことは出来ません。

でも、簡単に頂上に登れてしまっては

挑む甲斐もありませんから。

 

また今日から地道に

一歩ずつ登っていきたいと思います」

 

――中野選手がやりたいプレーは

出来ていたのではないでしょうか。

特に前半は。

 

「そうですね。

 

セットカウント2-2に追い付いて、

2-3にされたぐらいまでは、

まずまずの展開だったかなと思います。

 

カギになったのはやっぱり第6セットですね。

 

第10ラック、僕が8番を入れて、

9番にポジションする時に

手球がサイドポケットにスクラッチ。

ゲームカウント5-5に追い付けるところが

4-6になってしまいました。

 

あそこが勝負の分かれ目だったかなと。

 

次のラックを喜島選手がマスワリ。

彼がゲームカウント7-4で

第6セットを取って、

セットカウント4-2でリーチをかけた。

 

あのスクラッチは、自分でも『まさか』。

全く予測出来ない動きでした。

メンタル面でのダメージは

結構大きかったです。

 

でも、それはしょうがない。

あれがビリヤードです。

 

序盤とはコンディションが変わっていたことを

読めてなかった自分が下手だった

ということだと思います」

 

――あの場面を除くと、

2日間を通してそこまで気負うこともなく、

落ち着いた精神状態だったのでは?

 

「全体的にはそうだったと思います。

 

でも、土曜日(挑戦者決定戦)は

硬くなるところがありましたね。

 

『喜島くんと決定戦を撞きたい』

という思いが強かったせいか、

勝ち急いでしまったところもあったし、

なんとか勝てたという感じです。

 

日曜日(球聖位決定戦)は、

最高の舞台で最高のプレーをし、

見ている人には絶対に諦めない

姿勢を見てもらおうと思ってました。

 

そういう意味では、

僕も心が折れることはなく、

最後まで一生懸命撞けました。

それは自分でも評価出来るし、

納得が行く球は撞けたと思います。

 

もちろん負けたことは悔しいですよ。

特に仙台から駆けつけてくれた

両親の前で球聖位になって

親孝行できなかった事が、すごく悔しいです。

 

だけど、多くの人の声援と期待を背に

最後まで戦い抜くことが出来ました。

 

なので両親には自分の成長した姿を、

奥さんや子供には父親の諦めず戦う姿勢を

見せられたと思います。

 

それと喜島くんはやっぱり球聖に値する

プレーをしていたと思うので、

親友としても、心から『おめでとう!!』

という気持ちです」

 

――中野選手は試合での丁寧な

プレースタイルが持ち味ですが、

この2日間は速いところは速く、

メリハリあるテンポだった印象を受けました。

 

「そうでしたか。

 

普段はあんな感じなので、試合でも

ちょっとは普段通り撞けるように

なってきているのだと思います。

 

それも含めて、広島に移って来てからの

数年間で成長した姿も見せられるように

なったのかなと思います。

 

でも、もっともっとレベルアップして

いきたいと思います」

 

――最後に、応援してくれた人達へメッセージを。

 

「会場では会社の皆さん、

以前所属していたTPA

(東京ポケットビリヤード連盟)のメンバー、

関東の仲間・友人、そして家族と、

たくさんの方に応援していただきました。

 

神奈川や埼玉の応援の方々も

小宮選手や喜島選手のプレーだけでなく、

僕にも多くの声援をいただき

とても感謝しています。

 

それと、広島でも素晴らしい横断幕を

用意していただいた『ファイブナイン』や

HPBCの皆さんをはじめ、

会社の同僚など多くの方が

中継を見て応援してくださいました。

 

自分を支えてくれた全ての方に

『本当にありがとうございました』と

伝えたいです。

 

また最高の舞台を設営し、

家族もお世話になった

『セスパ東大宮』の遊馬さん・奈良さん、

 

そして、いつも陰ながら選手の為に

運営してくださるJAPA

(日本アマチュアポケットビリヤード連盟)の

皆様にも、この場を借りて

厚くお礼を申し上げたいと思います。

 

今回で球聖位決定戦で負けたのは2回目なので、

僕のプレーを見飽きたという人も

いるかもしれないですけど(笑)、

 

3度目の正直目指して、

来年も挑戦したいと思っていますので、

ぜひまた応援してください」

 

(了)

 

…………

 

Profile

生年月日:1984年2月24日生

出身・在住:宮城県出身・広島県在住 

所属店:『ファイブナイン』 (広島市)

使用プレーキュー:MUSASHI(ADAM JAPAN。シャフトはTⅡファクトリー・ノーマル中空)

所属連盟(クラブ):HPBC(広島ポケットビリヤードクラブ)

ビリヤード歴:約19年 

職業:会社員

球聖戦参加歴:今年が14回目 

 

※昨年の球聖位決定戦(大坪和史vs喜島安広)の

中野選手視点の観戦記はこちら

 

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