9ボール・10ボール世界チャンピオン。
USオープンチャンピオン。
数々のタイトルを持つ、
フィンランドが誇るワールドトッププロ、
ミカ・イモネン。
そのイモネンの新モデルキューが完成し、
本人は昨年末より実戦投入しています。
イモネンは長年、
日本のMEZZキュー(メッヅ。(株)三木)の
契約プロとして活躍。
3本の『MIシリーズ』キューを使ってきました
(3本ともMEZZ)。
今回、4代目のイモネンモデル、『EXC-17MI4』は、
モデル名からもわかるように、彼にとって初めての
『EXCEED』(エクシード)キューとなります。
BDは昨秋、EXC-17MI4の完成後間もなく、
実物を撮影する機会に恵まれました。
そしてなんと、イモネン本人からもコメントを
いただきましたので合わせてご紹介します。
…………
『EXC-17MI4』スペック
シャフト長:29インチ(本人は30インチのものを使用)
バット長:29インチ
重さ:19~19.5オンス
バット構造:クロスパワーコア
バットのベース材:黒檀
インレイ材料:黒檀、ジュマ、青ジュマ、ジュマジェム(青)、シルバー、パウア貝、ラピスラズリ、エイジスリング
シャフト:EX Pro(タップは斬プラスM)
ジョイント:ウェービー
グリップ:レザー
黒檀をベースに、
ブルーやホワイトのパーツをインレイ。
フィンランド国旗を想起させる色使いです。
リング部を中心に、
シルバー、貴石、貝などもふんだんに用いており、
トッププロ使用モデルらしいハイグレード感と
(株)三木の精緻な工作技術が感じられます。
“アイスマン”の異名を取るイモネンにふさわしい、
高貴で風格のあるデザインでしょう。
なんといっても特徴は、
グリップ部が短く、フォアアームが長いこと。
シャープで長い剣が目を引きます。
「本人から『前の方を持つことはないので、
グリップを短くして欲しい』と要望がありました。
通常のエクシードよりもフォアアームが長くなり、
剣も長いので、特別な仕様で全ての工程を
行わなければならなかった所が難しかったです」
((株)三木)
グリップ部を短くすると一口に言っても、
重量やデザインのバランスを考慮する必要があります。
この新キューは、(株)三木の高い技術力と
デザイン力なしには作り得なかったものだと
言って良いでしょう。
…………
さて、ここからはご本人にご登場いただき、
自身の新モデルについて語っていただきましょう。
…………
語り手:ミカ・イモネン
聞き手:BD
――あなたの新しいキュー、EXC-17MI4が完成しました。手にした感想は?
「そうだね。自分がデザインに関わっているし、何も文句は言えないよ(笑)。冗談はさておき、EXC-17MI4は自分が使ってきたキューの中で最も素晴らしいキューだ。持った感じが最高だし、見た目もとても美しい。全てにおいて僕の想像を”大きく上回っていた”(EXCEEDED)」
――(株)三木にはどんなデザインをリクエストしたのですか?
「まず、これまでのMIシリーズを踏まえたものであること。そして、伝統的なテイストと現代的なセンスを組み合わせたものにしたかった。例えば、グリップ部を短くすればフォアアームは長くなり、よりデザイン性を追求出来る。それから、剣のベニア材やインレイ材でフィンランド国旗の色を表現したかった。スリーブ側のウインドウデザインにはダイヤ型インレイを入れたいと思っていた。それら全てを三木さん((株)三木代表の三木一則氏)がまとめ上げてくれたんだ。リングのディテールにもこだわり、ダイヤ型にデザインしたラピスラズリと貝を繋げている」
――バットの仕様や性能面については何かリクエストしましたか?
「僕はちょっとゆるめのグリップ感が好きなので、わずかにバットを細くしてもらっている。おかげで握り心地は完璧と言って良いほど素晴らしいし、キュー全体から伝わってくる打感は最高だよ」
――EX Proシャフトについてはどうでしょうか?
「本当に進化しているね。今までのものよりだいぶパワーがあるのに、トビはかなり小さく抑えられている」
――もともとトビの少ないシャフトがお好みですか?
「そう。少ない方が良いけど、少なすぎるのは好みじゃない」
――バットのバランスや打感についての好みは?
「この新モデルのバランスがパーフェクトだ。僕はミディアムの硬さのタップでしっかりと撞く感触が好きだね」
――ブレイクキューの『パワーブレイクKai(魁)』やジャンプキューの『エアドライブ』についても、感想を一言いただけますか?
「僕はスポーツグリップタイプのKaiを使っているけど、素晴らしいキューだ。以前から変わらず、パワーとコントロールの両立がなされている。これだけ多くの人が使っているのも全く不思議じゃないよ。エアドライブは特に短い距離でコントロール重視で飛ばしたい時に素晴らしい性能を発揮するね」
――あなたとMEZZ / EXCEEDの関係はいつから始まったのですか?
「14年前だ。三木さんに出会えて本当に良かった。その頃からMEZZはさらに大きく成長を遂げ、僕も一緒に成長することが出来た。大きな家族の一員のように思っている。かけがえのない存在だよ。MEZZキューでたくさんのタイトルを勝ち取ってきたし、MEZZが僕にもたらしてくれたものに深く感謝している。これからの僕のキャリアもMEZZとともにある」
――MEZZ / EXCEEDはどういうキューブランドだと思いますか?
「明らかに世界一のブランドだ。僕は工場を訪れたことがあり、物作りに対する真摯な姿勢や、品質管理レベルの高さ、そして勤勉なスタッフたちや彼らのチームスピリットに触れてきた。そんなMEZZ / EXCEEDのプロ選手であることを誇りに思うよ」
――わかりました。最近のあなた自身の状況は?
「新しいキューが素晴らしいインスピレーションをもたらしてくれていて、トーナメントでプレーすることが楽しみでならないよ!」
――ありがとうございます。最後に日本のファンに一言いただけますか?
「僕は日本に行くのも日本でプレーするのも大好きだ。一番好きな国だね。だからまた日本でプレー出来ることを楽しみにしているよ。今僕は、世界規模でビリヤードをもっと普及させるために何か新しい方法を探す必要があると感じているし、日本でもそういったことが出来るだろうと思っているんだ」
(了)