〈BD〉「調査命令! 第2回FMCCを探れ!」――Detective “K” season 2 inside story 3 (Last Story)

 

オレの名は、K。探偵屋だ。

だから皆オレのことをDetective "K"と呼んでいる。

 

ビリヤードの道具、キューの調査なら任せてくれ。

 

20世紀前半、アメリカの旅回りハスラーは、

寒さの厳しいニューヨークやシカゴを避けて、

温暖なカリフォルニアや

フロリダの都市を目指したという。

 

寒い冬、暖かい玉屋で過ごすのが、

今も昔も一番だ。

 

ピコッ!

 

ん? 今月2度目、BDからのメッセージだ。

 

『Fan Meeting of Custom Cuesの第2回が、

池袋で開催されるんですが、探ってもらえますか?』

 

ファンミーティングオブコスプレ求人……?

 

『それ昨年も言ってたボケですよね?

“Fan Meeting of Custom Cues”、

略して”FMCC”

 

内垣プロ主催の、”ビリヤード・ロサ”で

カスタムキューオーナーが集まるイベントです。』

 

……バレたか。人使いが荒いなBD。

 

キュー好きなら見逃せないイベントだと、

昨年参加して知っているぜ。

 

『ボケが続かず、安心です。』

 

キューがオレを呼んでいるからな。

さくっと調べるぜ。

 

『調査をしっかり頼みますよ。

それと、あとで話がありますので。』

 

話……?

 

とにかくオレはキュー探偵。

引き受けるぜ、その依頼。

 

*****

 

 

1月7日(日)。冬晴れの空の下、

オレは愛車のホンダを飛ばして池袋に向かった。

 

『ロサ会館』の地下駐車場は、

入り口が分かりづらい。

カーナビもいい加減で、

遠回りさせられたが何とか到着した。

 

まだ午前11時だというのに、

ロサ会館1階のゲームセンターは大盛況だ。

 

もはやDetective Kだと関係者にバレているオレは、

大容量キューケースを持ち、

堂々とエレベータで5Fに上がりVIPルームに向かう。

 

すでに本イベント主催者の内垣健一プロ、

『ロサ』所属の松村浩道プロをはじめ、

スタッフが準備に追われている。

 

VIPルームには3台のポケットテーブル。

 

2台にはコレクター、酒巻博行氏製作による

最大300本展示のキャパシティを持つ

ディスプレイ台を設置。

1台は『CUE’S』誌の撮影用だ。

 

*****

 

赤狩山幸男・美秀プロ夫妻も観覧に訪れた
赤狩山幸男・美秀プロ夫妻も観覧に訪れた

 

今回で2回目となる『FMCC』は、

非営利的なイベントで、

キューの販売やトレード、商談はご法度。

 

アメリカン・キューメーカーの作品であれば、

誰でも1本から展示できる。

 

またその中から、投票により

「コレクターズチョイスアワード」盾を

上位3名に授与。 

 

一日限り、正午から午後6時までのイベントだ。

 

入場料は1,000円。

しかも女性同伴の場合、女性は無料。

 

収益ゼロどころか、大赤字だろう。

 

いいのか、内垣プロ。

いいのか、ビリヤード・ロサ。

今年も男気を感じるぜ。

 

*****

 

 

正午に開場、

キュー持参の参加者が続々集まり、

受付を済ませた後、セキュリティのため、

ケースを預け、キューを並べる。

 

その数、最終的に約180本。

 

展示されたメーカーは、オレが確認しただけでも、

 

ガス・ザンボッティ、

バリー・ザンボッティ、

カーセンブロック、

サウスウェスト、

ジナ、

タッド、

ジョスウェスト、

オメガ/dpk、

リチャード・ブラック、

モッティ、

マクダニエル、

シュレーガー、

シック、

ブラックボア、

スクラグス、

ピーターセン、

マクウォーター、

rc3、

pfd、

プルーイット、

ショーン、

ジョス、

バレンブルーギー、

ショーマン、

マンジーノ、

ロン・ヒーレー、

キケル、

ジョー・ポーパー、

ギルバート、

BCM、

マイク・ベンダー、

パーマー、ハーセック(順不同)

 

……これでも見落としがあるかもしれない。

 

*****

 

マクウォーター
マクウォーター
サウスウェスト
サウスウェスト

 

今回、FMCCが特に力を入れたのが、

クラシックかつトラディショナルデザインと

コンテンポラリーデザインの対比。

 

銘木の美しさを生かしたサウスウェストや、

親子二代にわたるザンボッティ。

 

高級カスタムの代名詞、ジナキューや

多彩なインレイパターンを持つマクウォーター。

 

これらのメーカーは今や入手が難しいだけに

名前は知っていても、まとまった本数を

一度に見ることは滅多にない。

 

*****

 

親子二代、15本のザンボッティ
親子二代、15本のザンボッティ
17本のジナコレクション
17本のジナコレクション

 

参加者はおよそ80人。

 

初対面であっても、

ビリヤードに対する思い入れは共通だから、

すぐに打ち解ける。

 

キューの好みが一緒なら、

お互い良き理解者であり、

キュー入手を競うライバルでもある。

 

どんなにコアでマニアックな発言をしても、

相手に分かってもらえる。

 

長年の疑問をぶつければ、誰かが答えてくれる。

これこそカスタムキューの理想郷だ。

 

先に出たBDのレポートに、

「今のKが展示者なのか探偵なのか、

はたまたいちファンなのかはよくわかりません」

と書かれているように、

オレもここではフツーの存在。

 

とはいえ、何らかの貢献はしなければならない。

 

そこで、所有者の枠を超えた、

この場限りのコレクションをプロデュース。

 

親子二代のザンボッティ15本や、

17本のジナなどを一か所に集めた。

 

 

極めつけは「メーカー問わずの四剣ハギ」。

集まったのはなんと76本。

 

マイクパフォーマンスで

「二度とないシャッターチャンス。

スマホやカメラを持って集合!」

と煽れば、たちまち人垣ができた。

 

皆が撮影した画像は、

やがて貴重な記録となるだろう。

 

なお、参加者による

「コレクターズチョイスアワード」の

投票結果は以下の通りだ。

 

 

※【】内は出品者

1位:バリー・ザンボッティ【佐山 善則氏】……中央

2位:カーセンブロック【溝渕 靖典氏】……右

3位:ジョー・ポーパー【野島 康弘氏】 ……左

 

*****

 

第3回『FMCC』の開催時期は、

とりあえず2019年1月頃を予定。

 

内垣プロは「みなさんのキューを

ぜひ世の中に出して刺激してください」という。

 

今回、参加できなかったオーナーも、

次回は秘蔵のキューを持って集合だ。

 

ピコピコピコピコ……。

 

ん? 

着信音がやたら長いメッセージだな、BDからだ。

 

『FMCCの調査、ありがとうございます。』

 

いつもの事さ。礼には及ばん。

そういや、後で話があるとかなんとか……。

 

『これまでご苦労さまでした。

依頼はここまでです。』

 

がびーん!

キュー探偵K、これにてジ・エンド!?

 

廃業の危機だ……。

 

( not to be continued…? )

 

Detective “K”についてはこちら

 

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