〈BD〉「思いの強さは一番だったと思う」――マスターズ優勝・竹内承勲選手の談話

Shokun Takeuchi Photo : JAPA
Shokun Takeuchi Photo : JAPA

 

先週末のアマ公式戦

『18th MASTERS』(マスターズ)で優勝した

竹内承勲選手の談話をお届けします。

 

10年前、BDは

当時プロ2年目の大井直幸プロから、

 

「あ、この人、友達のニックです」と

紹介されたことを覚えています

(※竹内選手が年上で、

同じ小学校・中学校の先輩にあたる)。

 

今回初めて、そのあだ名の由来も聞きました。

 

…………

 

竹内承勲 Shokun Takeuchi

生年月日:1978年5月5日(39歳)

出身・在住:東京

ビリヤード歴:約19年

所属店:錦糸町ルパン

職業:会社員

使用キュー:Black Jack

マスターズ出場回数:今回で2回目

(1回目は3、4年前。ベスト16)

 

…………

 

2017北海道オープンにて
2017北海道オープンにて

 

――初の全国タイトルです。

 

「僕自身すごく嬉しかったんですけど、

周りがだいぶ喜んでくれているのが

もっと嬉しいです。

 

もう何年も連絡がなかった

昔の球仲間から電話がかかってきたり。

 

今はビリヤードから離れてしまってる人も多いけど、

見ててくれたんだなって」

 

――2日間、納得いく球は撞けましたか?

 

「いや……練習もしっかりやって、

体調も整えて臨んだけど、

力を出し切れたとは言えないです。

 

たぶん勝ちたい気持ちが強すぎたせいか、

上手くできなかったところが多いです。

 

ヒルヒルになったりとか苦しい試合ばっかりで、

負けそうになって心が折れたりもしてました。

 

だけど、最後まで頑張れたと思います。

 

最後の方はちょっとだけ気が楽になれてたというか、

普段通りに近付けていたかなと」

 

――最後まで頑張れた要因は?

 

「いろんな要素があったんですけど、

応援してくれてた人達の存在が大きかったです。

 

例えば、(以前から親交のある)大井直幸プロ。

会場にも来てくれましたし、

食事に行ったり、球のことを喋ったりして。

 

球のことを語ると

とにかくアツいんですよ、アイツは。

 

大井プロがああいうステージで挑戦し続けてる

姿にはこっちも刺激を受けているし、

 

『俺もちゃんと球に向き合おう』という

気持ちにさせられてます」

 

――決勝戦(vs 妹尾健司選手)は先行しましたが、

いったん4-4に追い付かれました。

 

「4-1の時(第6ラック)、

6番から7番でポジションの事前確認を

怠ってしまったんです。

 

撞いてみたら、『全然弱いじゃん』みたいな

(その後、8番でミス)。

 

あれは明らかに確認ミス。

自分で隙を作って追い上げられてしまったので、

そこは反省点です。

 

ただ、すぐに気持ちを引き締め直すことができたし、

そこからは最後まで安心することなく

撞けていたと思います。

 

大井プロにもしょっちゅう、

『決勝で負けたら意味ない』と言われてるし、

自分でもそう思ってるんで、

だいぶ気合いが入ってたし、

深呼吸しながら撞いてました。

 

後から自分でも映像を見てみたら、

それなりに一生懸命やってました」

 

――ゲームボールを入れた瞬間のことは?

 

「覚えてます。

 

色んな人の優勝シーンを見てきてるじゃないですか。

だから、一瞬『どうしようかな』と(笑)。

 

あんまり派手じゃないぐらいの感じで

キューを上げようかなんて考えてました。

 

あの瞬間、だいぶ嬉しかったです。

 

大井プロや若い村松兄弟とか大阪の人達もそうだし、

関東の人達も見ててくれてたし、

ああいう場で、応援してくれる皆の前で

プレーできるのはやっぱり燃えてきますよね」

 

――竹内選手は関東の試合やオープン戦中心に

出ている印象があり、それほどアマ全国

タイトル戦のイメージがありませんでした。

 

「そうですね。

 

『球聖戦』は結構出ているんですけど、

マスターズはこれが2回目で、

あとは『スポレク』(富山)と

『アマナイン』に2回出ています。

 

僕は33歳~36歳の約3年間、

仕事で静岡に住んでいて、

球聖戦とかの公式戦に出るという名目で

東京に帰れるのがだいぶ楽しみで(笑)。

 

そうやっているうちに、

球聖戦で一つ上のステージに行きたいとか、

アマナインで勝ちたいとか、

そういう感情が芽生えてきました。

 

また、静岡で一緒に撞いたりして親しくなり、

慕ってくれるようになったのが秋本真吾選手です。

 

彼がタイトルを獲ったというのも、

大きな原動力になってます

(※2012年『全日本アマローテ』)。

 

今回は完全に結果にこだわっていて、

しっかり練習もしてきて、

『これで勝てなかったらしょうがない』

と思うぐらいでした。

 

だから気持ちが強すぎちゃって、

良くない面もありましたけど、

勝ちたいという思いの強さは、

自分が一番だったんじゃないかと思います。

 

大会前の2週間ぐらいは

『ルパン』に行く回数もめっちゃ増えてました。

相撞きとかで付き合ってくれた

ルパンの仲間にも感謝しています」

 

――この先、他の全国タイトルも目指しますか?

 

「これまでと同じようなペースで出ると思います。

来年は名人戦にも出るかもしれません。

 

周りには『全部出ろ』って言われますが(笑)、

仕事もあるので、どうしても東日本の試合とか、

東日本で予選があるものに限られちゃうと思います。

 

ただ、今回の優勝でプロの

『全日本選手権』には出られると思うので、

それは出てみたいと思っています。

 

僕はもともと、

プロのオープン戦がすごく好きなんで、

それは変わらず出ていきたいですね。

どんな試合でも、

ただのビリヤードマンとして戦うだけです」

 

――最後に、愛称の「ニック」の由来は?

 

「最初に通っていたビリヤード場で付けられた

通り名です。

 

20歳手前の頃、先輩とそこに遊びに行ってて。

当時僕はC級とかB級とか。

 

ちょうどその頃、『USオープン』か何かで、

 

エフレン・レイズ(フィリピンの「マジシャン」)

vs 

ニック・バーナー(アメリカの往年の名手)

っていうカードがあったんですよ。

 

その映像がお店で流れていて、

先輩がレイズに乗り、

『俺はこっち』なんてバーナーに乗ったら、

 

そこの店員さんが、

『よーし、今日からお前はニックだ』と。

 

普通はそこで終わっちゃうような話ですけど、

別の日にまた遊びに行ったら、

 

店員さんも『おー、ニック、よく来たな』

なんて始めちゃう人で、

それで周りもそう呼ぶようになって。

 

大井プロとか栗林(達)プロとかも、

『ニック』で紹介してくれるので、

それは本名より浸透しちゃいますよね(笑)。

 

僕自身もうしっくり来ちゃってますし、

歳取ってから考えたら、

ビリヤード業界で通り名があるような人は珍しいし、

覚えてもらいやすいし、

これって良いことだなって。

 

だからもう、このままニックで行きます(笑)」

 

(了)

 

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