〈BD〉潜入! KAMUIタップ工場。徹底した品質管理のちょっと裏側

 

世界中のプレイヤーのパフォーマンスを支えている

日本製積層タップ、『KAMUI』(カムイ)。

 

その生産拠点は広島にあります。

 

BDは数ヶ月前に、KAMUI TIPを製造している

『ENVISION』(株式会社エンヴィジョン)を訪れ、

製造工程を見学させていただきました。

 

製造業(メーカー)の多くがそうですが、

工程や工作機械のほとんどは非公開。

 

特別に許可をいただいた写真を中心に、

レポートを構成してみました。

 

タップ生産現場の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。

 

では早速……!!

 

…………

 

■広島から世界へ。KAMUI BRANDの拠点へ

 

 

広島県広島市の住宅街にあるエンヴィジョン。

 

約10年前にこの場所に移転してきたとのこと。

社屋の2Fが事務所、1Fが工場になっています。

 

今回、工場内をガイドしてくださったのは、

創業初期からのスタッフ、足立修治さん(右)です。

左は元プロ選手でもある別府賢治さん。

 

…………

 

■拡張し続けている工場!?

 

 

いよいよ1Fの工場内へ

(全景は……ご想像ください)

 

タップそれ自体が小さなパーツなので、

製造スペースもそれに見合った広さだろうとは

想像してはいましたが、

 

KAMUIは世界トップの流通量を誇る

タップであることを考えると、

内部は若干手狭な印象を受けました。

 

KAMUIチョーク製造ブースがここにあることも、

そう感じる一因でしょう。

 

「その通りです(笑)。

これでも、以前駐車場だったスペースを

製造スペースとして拡張する工事をしました。

この先もさらに拡張するかもしれません」

(足立さん)

 

スタッフの皆さんがそれぞれの持ち場で

テキパキと仕事に勤しんでいますが、

よく見ると、大型の排気ダクトの前で、

マスクを付けて作業しているスタッフの姿も。

 

積層タップは、革と接着剤でできいる訳ですが、

その接着剤の成分や粉じんを吸い込まないように

作業環境を整えています。

 

工場内をそろそろと歩くBDの脇や背後には、

社外秘の工作機械がいくつも並んでいます。

 

それらの機械達は、

タップ硬度を均一にするようにプレスしたり、

正確かつ綺麗に丸く抜いたり、といった

機械にしかできない仕事や、

手作業より圧倒的に早くできる仕事をやっています。

 

…………

 

■良質の革が生命線

 

 

KAMUI TIPは国産の豚革を使った8枚積層タップ。

良質の革を継続的に仕入れるところから

全てが始まります。

 

薄茶色の革は「オリジナル」用で、

黒い革は「ブラック」用。

 

堅牢性、弾力性、そして、環境保護の観点から、

「タンニンなめし」でなめした革を使っています。

 

天然素材である革。

その質にこだわりつつ、

大量かつ安定的に仕入れるのは、

どのタップメーカーも苦労する部分。

 

KAMUI BRANDは革業者との

綿密な打ち合わせを絶やしません。

 

「革屋さんはチームの一員だと思っています。

信頼関係がなければ良いタップを

長期間作り続けていくことはできません」

(足立)

 

ここからの製造工程は、文章にすると、

「カットした革のシートを8枚重ねて接着して……」

と、単純そうに思えるのですが、

 

革のシートの厚さや重ね方、

接着剤の温度と塗り方、

加圧の加減と時間、硬さの調整、

乾燥の時間……など、

ありとあらゆることにノウハウと決まりがあります。

品質は細部に宿っています。

 

…………

 

■模造品防衛策でもある!? 精緻なデザイン

 

 

タップの天面に、

お馴染みのデザインを印刷をしている工程。

 

世の中には数多くのタップがありますが、

印刷の明瞭度、デザインのわかりやすさにおいて、

KAMUI TIPは群を抜いています。

 

印刷手法は「インク」から「箔押し」、

そしてこの「特殊印刷」へと移行してきました。

 

商品を美麗に仕上げるというだけでなく、

精緻な印刷を施すことで、

模造品との見分けがつきやすくなったり、

模造品を作る側がコピーしにくくなる(諦める)

という意味があります。

まるでお札の話のようです。

 

ちなみに、このタップはブラックのM。

 

足立さんに聞いたところ、

ブラックとオリジナルでは、

ブラックの方が生産量が多いとのこと。

 

ブラックの弾力性の高さともっちりした感触が

多くのプレイヤーに好まれているのでしょう。

 

→KAMUI BRANDサイトにも

ブラックとオリジナルの性能の違いが

視覚的にわかりやすく掲載されています。↓

http://www.kamuibrand.com/billiard/playability

 

…………

 

■撞くのも仕事です! 感応評価

 

 

この写真、

社内レクリエーションの光景ではありません。

 

一連の検品作業の中の、

「感応評価」というちゃんとしたお仕事。

 

ビリヤードができる従業員による「実撞検証」です。

 

決まった数のタップをランダムに抜き取り、

決まったシャフトに

決まったR(天面の丸みの度合い)で取り付け、

 

工場の2Fにある試打室で、

決まった配置を決まった撞点で撞きます。

 

そこで、手に伝わる感触――すなわち、

硬さ、切れ、もっちり感などを確認し、

さらに「音」にも意識を集中します。

 

仮に何かの項目の評価点が

低かった場合にはどう対処するのか。

そこまでマニュアルに落とし込まれています。

 

「私はこの仕事のおかげでセンターショットだけは

外れなくなりました(笑)」

(足立)

 

それは羨ましい……ですが、仕事です。

 

…………

 

■トップメーカーの責務。シリアルナンバー

 

 

約2年前に始まったKAMUI TIPの新しい取り組み。

それがこの正規品判定システム

 

タップ一つ一つの側面に、

6ケタのシリアルナンバーが印字された紙を貼付。

 

ユーザー側は、シリアルナンバーをここ

入力するだけでオンラインで真贋判定ができます。

 

足立さんとともに

デタラメな数字を入れてみたところ、

「FAKE」になったのはもちろんなのですが、

 

同時に管理者側(KAMUI BRAND)に、

オートマティックに入力情報が飛んできます。

 

どんなナンバーが、いつ、何回、

どこ(IPアドレス)で入力されたのか。

管理者にはそこまでわかります。

 

これはユーザーとメーカーが現時点で出来る

最高のディフェンスではないでしょうか。

 

「偽物は昔から多く、頭を悩ませてきました。

 

以前はタップに直接シリアルナンバーを

刻印していたんですが、

お客様がタップをシャフトに

取り付けてしまうと見えないですし、

単純に見えにくいということもありました。

 

そこでタップを付けた後でも

ナンバーがわかる形にして、

お客様自身でも真贋判定ができるシステムを

作りたいと思っていまして、

外部企業と共同で構築しました」

(足立)

 

このシステムは品質管理にも大いに役立ちます。

 

仮に、あるタップに異常が見られた場合、

シリアルナンバーから製造ロットと

同時期に作られたタップが特定でき、

 

さらにそのタップが作られた時の生産条件

(材料、担当者、気温、湿度など)も

参照することができます。

 

…………

 

■完成! 世界の52ヶ国へ

 

 

検品が終わり、パッケージに入れられたタップが

世界の国々へと旅立って行きます。

 

現在、KAMUI TIPの生産量の85%は、

海外に出荷されています。

「世界が認めたメイドインジャパン」なのです。

 

このタップでどの国のどんなプレイヤーが

どんなショットをするのでしょうか。

 

それぞれのお国の言葉で感応評価をすると

どんな表現になるのか知りたいなぁ……

などと考えながら工場を後にしました。

 

近日、「KAMUI TIPの品質管理」などについて、

現場スタッフの生の声をお届けする予定です。

 

(了)
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