〈BD〉「MUSASHI」西嶋大策モデル発売! 西嶋流・道具のこだわりを聞いてみた(前編)

 

6月の『グランプリイースト第4戦』

優勝を飾った西嶋大策プロ。

 

その西嶋プロが

長年愛用しているプレーキューは、

ADAM JAPANのフラグシップモデル、

『MUSASHI』(ムサシ)。

 

今使っているMUSASHIは、

昨年末に出来上がったもので、

「6本目」の西嶋モデルとなります。

 

黒檀をベースに、

紅木(こうき)の長短8剣ハギが入った、

落ち着いた佇まいのデザイン。

 

現在、『ショールーム MECCA』では、

本人使用キューと同デザインのMUSASHIが入荷、

7/1より店頭販売開始とのこと。↓

 

画像提供:ショールーム MECCA

 

 

(※左から2番目のモデルは既に成約済み。

シャフトはノーマルと『A.C.S.S』の2本付き。

グリップはお客様が選べるように

ヌード〈無垢〉になっています)

 

……ということで、この機会に、

西嶋プロのキューに対するこだわりや

好みを改めて聞いてみたいと思います。

 

ちなみに、質問を考えたのは、

ショールーム MECCAスタッフのSさん。

 

「西嶋プロのシャフトの調整やタップ交換は

弊ショールームの工房で行っていますし、

西嶋プロが道具に対して鋭敏な感覚と

こだわりを持っていることは以前から

よくわかっていますが、その理由について

今まで掘り下げて聞いたことはありません。

 

ですので、BDさんを通して

質問してみたいと思いまして」

(Sさん)

 

かしこまりました。お任せください。

 

まず今回は「前編」として、

バットとシャフトの相性、

西嶋流のハイテクシャフト観など、

プレーキューについてのお話をお届けします。

 

皆さんのキュー選び、シャフト選びの

ヒントになるかもしれません。

 

…………

 

 

聞き手:BD

語り手:西嶋大策

 

 

――新しい西嶋モデルMUSASHIが

7/1に発売されることになりましたが、

どんなところがポイントでしょうか?

 

「まず、ずっと使っていても飽きの来ない

デザインが良いと思います。

ゴテゴテしていなくてシンプルだけど、

高級感も感じられるデザイン。

 

そしてMUSASHI構造なので、

当然ですけど、パワーがあるキューです。

 

シャフトはノーマルとA.C.S.Sの2本付き。

 

僕は今ノーマルシャフトで撞いていますが、

どちらが自分に合うのか、

両方試してみてもらえたらと思います」

 

――今回のキューも含めて、歴代の西嶋モデルは

エボニー(黒檀)のバットが多い印象ですが、

それは打感や性質が好きだから?

 

「いや、見た目優先と言って良いですね(笑)。

 

実は僕が一番理想とするバット材は、

バーズアイメイプルなんですよ。

あの柔らかめの感触が好きで。

 

本当はバーズアイメイプルのバットに、

硬めのシャフトを付けて撞くのが好み。

 

でも、見た目的にバーズアイは

杢目(もくめ)の出方にムラがあるのが普通です。

そういう木だからしょうがないですけど。

 

その辺りはエボニーの方が安定しているので、

ベース材として選びやすいというのが理由です」

 

――わかりました。でも、エボニーを採用した

MUSASHIバットは硬そうなイメージがあります。

好みの打感とは違って来ませんか?

 

「芯材を柔らかめのものにしてもらったりして

調整してもらっているので、

そんなに硬くは感じません。

『いかにもエボニーな打感』ではない。

 

ただ、MUSASHI構造なのですごくパワーはあります。

 

今の僕はそこまでパワーを欲していないですし、

たぶん、MUSASHI構造じゃないバットでも、

使えると言えば使えます」

 

――そういう事情もあって、しばらく

メインシャフトをノーマルにするかハイテク

(A.C.S.S)にするか、迷っていたのですか?

 

「そうです。

 

バットの性能が良くて、パワー十分なので、

ハイテクシャフトを載せちゃうと

僕のプレースタイル的に

ボールコントロールがしづらくなってしまう。

 

コントロール性を確保するために

ノーマルを選んだという言い方が近いです」

 

――その前はA.C.S.Sを使っていたそうですが、

そこからノーマルに戻すとなると、

違和感もあったのでは?

 

「それはほとんどなかったです。

もともとノーマルの打感が好きだし、

扱いに慣れてるから。

 

むしろ、ノーマルなら撞いた瞬間すぐに、

ボールがどれだけどう走るかっていうのがわかるし、

『あれ?』ってなることはまずない。

 

そこがハイテクシャフトだと、

キューのわずかな突っ込み方の違いで、

びっくりするほど走ってしまうこともあります。

 

でも、わかりやすくパワーや切れやズレにくさが

欲しい人には、ハイテクシャフトはオススメです。

 

僕ももしバットが柔らかかったり、

そこまでパワーがなかったとしたら、

A.C.S.Sを使って補いますから」

 

――西嶋プロのプレースタイルでは、

パワーを要する取り方をまずしませんね。

 

「そうですね。もらい球なら別ですけど、

僕はキュー性能に頼るような組み立ては

あまりしません。

 

だから、シャフト選びにおいてパワーは

そこまで優先順位の高い項目ではないです」

 

――以前、『アダムのハイテクシャフトは

全て使ったことがある』と言っていましたね。

中でもやはりA.C.S.Sが一番合うのですか?

 

「A.C.S.Sは一番長く使ってきているので、

一番しっくりきます。

 

でも、『A.C.S.S PRO』は、

僕には打感が硬くて合わなかったです。

 

そして、個人的には、貼り合わせタイプ

(Solid 4、Solid 8、Solid 8 MAXなど)の

シャフトは、ヒネった時に

手球のカーブが出すぎる印象があって、

自分には合わないと感じています。

 

その意味でもA.C.S.S(中空構造)の方が好き。

 

でも、しいて貼り合わせタイプで言うなら、

『Solid 12 MAX』は、

性能面のバランスが良いと思います。

 

あれはブレイク用のシャフト『TH』のテーパーを、

『プロテーパー』にして、

プレーキュー用にしたものでしょう

(※タップと先角も異なる)。

 

というか僕、プロテーパーにしてあったら、

どれも使えると言えば使えます(笑)。

 

テーパーは、僕がキュー選びで

重要視する『振りやすさ』に

大きく関わってくるポイントです。

 

(※BD註:キューは先端部から

後端に向けて徐々に太くなっていくが、

その太さの変化の度合いをテーパーと言う。

メーカーやモデルなどにより

様々なテーパーがある)」

 

――市販されているノーマルシャフトと

A.C.S.Sは、プロテーパーではなく

『標準テーパー』ですが……。

 

「僕個人のシャフトのテーパーは

オリジナル仕様になっていて、

それはほとんどプロテーパーと言っていい

テーパーになっています。

 

アダムには僕のテーパーのデータがあって、

いつもその通りに仕上げてもらっています。

 

あとは、先角の素材や長さも色々と

試してきています」

 

――そういったことができるのも

プロスタッフならではですね。

先角の話はまたいずれ聞かせてください。

プロテーパーのシャフトで言えば、

「ノーマルっぽいハイテク」の『VI』もありますが。

 

「もちろん試したことはありますが、

そんなに長く使うことはなかったです。

 

『ノーマルの感覚を取り入れている』という

特徴があるシャフトですけど、

『それだったら僕はノーマルで良いです』

になるので(笑)」

 

 

――西嶋プロの昔からの

シャフト遍歴をお聞きしますが、

一番初めはノーマルシャフトですよね。

……というかそれしかない時代だったから。

 

「そう、ノーマルでビリヤードを覚えて……、

 

1990年代の半ば、『314』(プレデター)が

出始めた時には314を使ってました。

 

あれは性能がすごく良くて画期的な商品でした。

 

ただ、その頃僕は

柔らかいタップが好きだったんだけど、

314とは全く合わなかった記憶があります。

 

もう食い付きすぎちゃって、

トビは出ないけど、カーブが出すぎちゃう。

先球にもすごくヒネリが伝わってました。

 

その後、A.C.S.Sを試したんだけど、

A.C.S.Sなら柔らかいタップを付けても、

ほどよくズレてくれるし、僕には合ってました。

 

そして、アダムプロスタッフになって

色々なシャフトを使ってきましたが、

A.C.S.Sの時間が一番長いです。

 

商品化されてないものも

たくさん使わせてもらいました。

例えば、2枚貼り合わせのA.C.S.Sとか」

 

――えっ、2分割A.C.S.Sですか。

 

「そう。『ジャパンオープン』で

優勝した時(2003年)に使っていたのは、

2枚貼り合わせのA.C.S.Sでした。

 

結構ズレるシャフトだったけど、

ずっと使っていて慣れていたし、

全く問題なかったです。

 

というか、あのキューのバットが良かったのかな。

不思議なバットで、どんなシャフトを

付けても振りやすかったんですよ。

 

バットの中の方にも下の方にも

イモネジを入れていて、

バランスも相当調整していたから、

どのシャフトにも合いやすかったんでしょうね」

 

――年齢を重ねてきて、そして、

病気とそこからの復活を経て、

フィジカル面の変化もあったと思いますが、

プレーキューのセッティングや

キューに対する好みに変化はありますか?

 

「いや、どうだろう、それはあまりないかな。

少なくとも病気はあまり影響してないです。

 

でもやっぱり、長い目で見ると

だんだん『パワーがない道具』に、

戻って来ているという感じはあります。

 

今はキューの性能が上がっているだけでなく、

ラシャの性能も良くなってるし、

ボールの質もいいから、

球の転がりがどんどん良くなっている」

 

――素直に綺麗にたくさん転がる、と。

 

「そう。そうなると、

さっきの話の繰り返しになるけど、

そんなにキューにパワーは必要ないなと

僕は感じています。

 

プレースタイル的にも、

僕は基本的にフリを取って転がすタイプなので、

パワーが求められるショットを選ぶことは

ほとんどないですし」

 

――わかりました。この話、後編に続きます。

 

…………

 

後編は7月中旬に掲載予定です。

 

…………

 

Daisaku Nishijima 

JPBA37期生 

1976年1月8日生 東京都出身 

アマ時代の2003年に『ジャパンオープン』優勝 

『グランプリイースト』では優勝通算7回 

2011年『四国9ボールフェスティバル』優勝 

他、優勝入賞多数 

使用キューはMUSASHI(ADAM JAPAN

MECCA所属 

 

 

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BD Official Partners :  
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED 
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN 
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt 
末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA 
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation 
徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND
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