〈BD〉菅原利幸、タップのこだわり。その1「タップに求める条件とは?」

Toshiyuki Sugahara
Toshiyuki Sugahara

 

関東を中心に競技活動を続け、

これまでプロ公式戦で5度の優勝経験を持つ

菅原利幸(すがはらとしゆき)プロ。

 

“柔和な技巧派”として知られる菅原プロの

プレーを支えているバックボーンが、

経験と知識に裏打ちされた、

球と道具に対する鋭い観察眼と感覚にあることは

疑いありません。

 

その菅原プロが使っているタップは『KAMUI』

 

どのようにしてKAMUIを使うことになったのか。

菅原プロの「タップ論」を数回に分けてお届けします。

まずは「タップに求める条件」から。

 

…………

 

Sugahara Toshiyuki

1972年9月17日

JPBA32期生

『東日本男子プロツアー』優勝1度

『GPE』優勝4度

使用キューは『HAKU』(プレー、ブレイク、ジャンプ全て)

使用タップは『KAMUI BLACK S』(プレーキュー)

チョークは『KAMUI 1.21β』と『Masterプレミアムモデル』

ケースは『ジョーポーパー』

所属ビリヤード場は『アリス』(東京)

 

…………

 

 

画像左から、全てKAMUIタップの……

プレーキュー:BLACK S

緊急時用シャフト:BLACK M

ブレイクキュー:CLEAR BLACK S

キャロムキュー:CLEAR ORIGINAL S

 

 

使用キューは国産カスタムの『HAKU』

 

…………

 

菅原利幸、タップのこだわりその1

~求める条件とは~

Supported by KAMUI BRAND

取材協力:Billiard ALICE

 

 

――ズバリ、菅原プロがタップに求める条件とは?

 

「一番は『キューミスしない』こと。

 

そのためにはチョークが良く乗って、

撞点をしっかり捕まえてくれることが大事です」

 

――打感や硬軟の好みは?

 

「硬いか柔らかいかというところには

実はあまり好みがなくてですね。

 

思った通りに手球を転がせるものであれば、

どちらでも良いです」

 

――「思った通り」の部分を具体的に言いますと?

スピンのかかり具合ですか?

 

「それもそうですし、

的球に当たるまでのスピードと、その後の転び方です。

 

例えば……、

テーブルコンディションやラシャの種類にもよりますが、

柔らかいタップだと手球の動きがスローに感じますし、

硬いタップだと比較的速く感じる。

 

そこの部分が自分の感覚と合致するかどうか、

ということです。

 

細かい話になりますが、

僕は季節によって使うタップの硬さを変えています。

 

冬場、乾燥している時期は柔らかめのタップを使う。

それがKAMUI BLACKの『S』です。

基本的に僕の今のベースがこれです。

 

で、夏場など、湿度が高くなってきて、

ドローショットとかが難しい季節になると、

少し硬いものに変えています。

KAMUI BLACKの『M』です」

 

――えっ、それは毎年のルーティンとして?

 

「はい、毎年そうですね。

 

あまりに湿度が高い時には少し硬いタップにして……

ラシャとの摩擦による回転ロスを

避けたいとか考えますね。なので、

緊急用にMを付けたシャフトも持ち歩いている訳です。

季節によって緊急用がMだったりSだったり……(笑)」

 

――打感で言うとどういうものがお好みですか?

 

「食い付きが良いもの。

……だけではちょっとぼんやりしすぎてますね。

 

手球に当たって一瞬へこむんだけど、

すぐ反発するあの感じ、つまり、

弾力を感じられるようなタップが好きです。

 

球に負けて終わりじゃなくて、

すぐ跳ね返すぐらいの弾力が感じられるもの」

 

――プロに向かって失礼ですが……

タップごとの弾力性の違いって

はっきりと感じられるものなんですか?

 

「はい、感じます。

 

特に今、プレーキュー(『HAKU』)の

シャフトがノーマルシャフトで、

しかも1本のシャフトで全てのタップの

試し撞きをしているので、

余計にわかり易いんだと思います。

 

僕はノーマルシャフト派ということではなく、

できるだけキューメーカーさんの意向に沿う形で

キューを使いたいと思っていて、

それで今はノーマルシャフトなのですが。

 

以前には8年ほどハイテクシャフトを

使っていた時期もありましたが、

弾力とか食い付きはノーマルシャフトの方が、

より鮮明にわかるかなと思います」

 

※タップの性能や硬軟一覧はこちらから。

 

――今はKAMUI BLACK Sを使っておられますが、

それをチョイスした経緯は?

 

「えっと……あれは8年ぐらい前だったかな。

 

使用契約プロになるという時に、

KAMUIタップのレパートリーを

色々と試させてもらいまして、

その中から選んだのがBLACK Sでした。

 

ここまでに述べてきたような理由で、

自分に一番合うものがこれだったと。

その時はまだハイテクシャフトを使っていたと思います。

 

基本的にはそれ以来ずっとBLACK Sなんですが、

ノーマルシャフトを使うようになって

BLACK Mも使うようになりました。

 

シャフトの性質や、季節(湿度)や

テーブルコンディションの事もあって、

どうしてもイメージとのギャップが生まれる事があります。

 

そんな時に使用するタップの硬度を変える事も、

自分としては選択肢の一つになっています。

 

でも、これってタップの品質が高いレベルで

均一化されていないと出来ない事ではありますよね。

 

昨今はハイテクシャフト全盛の時代でもありますし、

性能誤差も限りなく少ない訳で……、

 

状況に応じて使用するタップの硬度を変える事は、

これからのスタンダードなスタイルに

なるかもしれませんよね?(笑)」

 

――タップごとの性質を把握した上で

使い分けておられるのですね。

ブレイクキューには『CLEAR BLACK S』を、

キャロムキューには『CLEAR ORIGINAL S』を

それぞれ使っていますが、

それも理由があってのことですね?

 

「はい、ブレイクにCLEAR BLACK Sを

使っているのは……、

 

9オンフットラックでブレイクをする時は

ヒネってブレイクすることになりますが、

 

ラシャによってトビ(見越し)の出方が

異なるのを、その都度修正していくのは

あまり現実的ではありません。

 

Mとの比較で言うと、より柔らかいSの方が

トビが多少抑えられるので、

Sを使っているということですね。

 

そして、強度的に座が付いているものが

良いだろうということで『クリア』です。

 

キャロムキューのシャフトに

CLEAR ORIGINAL Sを付けているのは、

『普通の回転量』が欲しいから。

 

ORIGINALとBLACKを比較すると、

ブラックの方が回転量が増えます。

 

僕にとって、BLACKのその特性は

ポケットビリヤードでは

撞きやすくてありがたいのですが、

 

キャロムでは『回転がかかりすぎている』

と感じられます。そうすると僕程度のレベルだと、

計算通りに球を走らせられなくなってしまう。

 

だから、キャロムで思った通りの回転量で

思った通りに手球を動かすなら

僕はORIGINALが良いと思っています」

 

――菅原プロのタップ使用遍歴や

KAMUIとの出会いについては

また次回お聞きするとして……。

菅原プロが思う、理想のタップの選び方とは?

 

「一言で言うと、『たくさん試すこと』に尽きます。

 

最近のタップは安くはないですが、

可能な範囲で、納得できるものに出会えるまで

色々と探すのが良いんじゃないかなと思います。

 

やっぱり信頼を置けるタップじゃないと、

プレーが成り立ちませんから。

 

シャフトの性能とか見越しとか、

キュー自体のパワーとか色々な要素がありますが、

タップは手球との唯一の接地点なので、

一番こだわって良いところだと思います。

 

実際、プレー中に一番右手に繊細に伝わってくるのって、

タップが手球に当たる感触だと思うんです。

スピンの掛かり具合などもそこでわかりますよね。

だから、自分の感覚に合わないタップでは

とても良いプレーはできません。

 

でも、合う合わないというのは、

やっぱり数を使わないとわかってこない部分ですから、

色々と試してほしいですね」

 

――それは矢継ぎ早にどんどん交換していく

イメージで良いのでしょうか?

 

「いや、できれば、多少の違和感があっても

いきなり取り替えちゃうんじゃなくて、

短くても数日は使ってみると良いと思います。

 

積層タップは単層(一枚革)に比べて、

比較的付けてすぐ使えると言われますが、

 

それでも、メーカーによっては落ち着くのに

3日、4日掛かるものもあります。

 

理想的には、タップを付けたての時と、

数日経って落ち着いた時、

そして、ある程度使い込んで減ってきた時、

この3段階を通して判断してほしいと思います。

 

僕がKAMUIが優れていると思うのは、

製品自体のクオリティと管理のクオリティが高いので、

商品のバラつきが極めて小さいだけでなく、

 

付けたての時から減ってきた時まで、

硬度を含めた打感の変化・変質が、

他のタップに比べてだいぶ少ないというところです。

 

このこと一つをとっても、安心して誰にでも

オススメできるブランドだと思います」

 

(了)

 

※4月に続編をお届けする予定です!

→ 続編はこちら

 

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