〈BD〉全日本チャンピオン渡辺元が「ジャンプ引き・ピンクリア」を撞いてみた

 

日本有数の"キュー切れ"を持つ、 

アーティスティックビリヤードの全日本選手権覇者・ 

渡辺元プロ(JPBF)に、 

  

すんごい球を撞いてもらって、 

色々と動画で撮ってみる企画、第7弾です 

(※本企画の過去記事はこちら

  

撮影場所は渡辺プロが所属する 

NABBI』(東京・大塚)。 

  

………… 

 

今回撞いてもらったのは

「ジャンプ引き・ピンクリア」。

 

アーティスティック公式競技の中では

”8点”(最高10点)。

 

こんなショットです。↓ 

 

 

キューに少し傾斜を付けてドンッとショット。

 

手球は黄球の上に乗り上げるような格好で

勢い良く跳ね上がり、

着地してからドロースピンが効いて、

ピンの前方を巻くようにカーブして

撞き手の方に戻って来ます。

 

手前の短クッションから左ヒネリが効いて、

2クッションで赤球へ。

 

しっかりピンをクリアした上で

この動きを出すには、

手球をただ飛ばすだけでも、

ただ引くだけでもダメという、

ジャンプとドローの兼ね合いが

難しいであろうショットです。

 

ショットの瞬間をスローで追ってみましょう。↓

 

 

前回の「扇ジャンプ」と同じく、

手球はショット直後に

すぐ浮かび上がって(滑空して)いて、

黄球に当たってさらに大きく飛び上がって行く。

その様子がよくわかります。

 

…………

 

いつものように、この動画を見ながら、

渡辺プロご本人にいくつか質問をしてみます。

 

――このジャンプ引き・ピンクリアは

渡辺プロにとって易しい球ですか?

 

「点数(10点中「8点」)からすると易しい方です。

 

僕は得意でもなく不得意でもないですけど、

試合でそこまで外れた記憶はありません。

 

少なくとも『なかなか当たらない』

というようなイメージはないので、

やや得意と言っても良いと思います」

 

――撞点や厚みは?

 

「撞点は左下です。

 

厚みは黄球の少し右側ですが、

 

僕の場合は、右側に当てようと意識すると、

だいたい右に当てすぎて、

手球が右方向に流れやすくなり、

引きが効き始める前に右の長クッションに

入ってしまうことがほとんど。

 

恐らく手球をジャンプさせるので

余計に横に流れやすくなるんでしょうね。

 

だから、それを見越して厚めに

撞いているようなところがあります。

 

身体の向きやキュー方向は

右に向かってるはずなんですけど、

気持ちとしてはほぼ真正面に当てるぐらいの

つもりでちょうど良いというか。

 

イメージより厚く当てて、

手球の左をヒネることで発生する

右方向へのズレを利用する……かな……?

ぐらいです」

 

――スロー動画を見て気付いたことは

何かありますか?

 

「前回の扇ジャンプと同じですが、

イメージよりは撞点が高かったです。

もうちょっと下を撞いていたつもりでした」

 

――前回の扇ジャンプもそうでしたが、

手球を「飛ばす」、そして「引く」。

両方を一度にやるのは難しくないですか?

 

「もちろん、簡単だとは言えません。

 

手球の下の端の方を撞けば、

引き回転はいっぱいかかるけど、

ジャンプが甘くなる。

 

反対に撞点を中心に寄せると

飛ばしやすくなるけど、引けなくなる。

 

ジャンプと引きのバランスを

上手く調整しながら撞く必要があります。

 

でも、ジャンプさせることに関して言えば、

この配置そのものがよく計算されていて、

比較的『飛ばしやすい』セットに

なっていると思うんです」

 

――飛ばしやすい?

 

「はい。まず手球があるこの場所。

 

ここにある手球の下側を撞こうと思ったら、

ブリッジはクッションレール上で組むことになるので、

勝手にキューに傾斜が付きますよね。

つまり、飛ばすのにちょうど良い位置です。

 

そして、手球―的球の距離感がまた良くて、

手球が石板との反発で軽く浮かび上がった所で、

的球がジャンプ台として機能するような、

ちょうど良い位置関係になっています」

 

――言われてみると、そうですね。

 

「それでも、ジャンプさせた上で

このぐらい引くのは難しいので、

成功率を高めるためには当然練習が必要ですけど、

 

100%撞き手の力だけで

実現しているショットではなく、

配置の力も借りているということです。

 

アーティスティックビリヤードは

その辺りが上手く出来ていて、

”配置がその撞き方を求めてくる”ショット

というのが割とあります。

 

このジャンプ引きも、ある程度撞ける人なら、

アーティスティック経験が乏しくても

何回か撞けば成功のチャンスがあります。

特に強く撞ける男性なら。

 

競技としてやっている僕らは、

あとはその確率をいかにして高めるか

というところなんですが、

 

そのためには、ジャンプ、引き、厚み、

ヒネリといった複数の要素のバランスを

いかにして早く・確実に整えるのか

というところが大事になってきます」

 

(了)

 

…………

 

渡辺プロ、ありがとうございました。

 

次回のショット内容は未定ですが、

本企画は引き続きお届けする予定です。

 

…………

 

Hajime Watanabe 

1983年3月9日生 

東京都出身 

JPBF入会2006年 

2007年&2011年『全日本アーティスティック選手権』優勝 

NABBI(東京・大塚)所属

使用キュー(3C、平撞き、マッセ)は全てMEZZ 

 

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