〈BD〉全日本チャンピオン渡辺元が「切り引き」を撞いてみた・その2

Hajime Watanabe
Hajime Watanabe

 

試合の記事が多くなるこの週末。

ここで中休みとして

トリックショットのスロー動画を。

 

…………

 

日本有数の"キュー切れ"を持つ、

アーティスティックビリヤードの全日本選手権覇者・

渡辺元プロ(JPBF)に、

 

すんごい球を撞いてもらって、

色々と動画で撮ってみる企画、第2弾です

(第1弾はこちらから)。

 

撮影場所は渡辺プロが所属する

NABBI』(東京・大塚)。

 

…………

 

今回も前回に引き続き、

「切り引き」をピックアップ。

 

前回とは配置が違います。こんなショットです。↓

 

 

手球と的球の間の隙間は5mmほど。

 

これを"二度撞き"

(タップが二度以上手球にヒットすること。ファウル)

しないで引いて、手球を赤球まで運びます。

 

インパクト時のキュー先をスローで観てみましょう。↓

まず後ろのアングルから。

 

 

続いて真上から。↓

 

 

スローで観ても、手球はかなりスピンしている

様子がうかがえます。

 

ただ、今回も「二度撞きしてしまっているかどうか」は

ちょっと判別しづらいですね。

 

今回は、真上から

「キューミスのスロー映像」も撮ってみました。↓

 

 

キュー先(タップ)が球の表面を捉えず、

ツルッと横に滑って行っている様が見て取れます。

スピンもほぼ入っていません。

 

…………

 

この4本の動画を見ながら、

渡辺プロに質問をしてみました。

 

…………

 

――今回の切り引きは

前回のものより難しいですか?

 

「前回のが

『アーティスティック公式100種目』の中の

“10点”(最高難易度)で、

今回のは”7点”です。

 

なので、

今回の配置の方が易しいとされていますし、

撞き手としてもそう思いますが、

 

切り引きというものを練習する時、

多くの人が前回の配置で覚えるんですよ。

 

だから、前回のは

『失敗しにくい10点』と言えますね。

僕も成功率で言ったら

前回の配置の方が高いかもしれません」

 

――撞き方は前回と同じですか?

 

「あくまで僕は、ですが、結構違ってます。

 

前回のはスタンダードブリッジで撞きますが、

 

今回のは手球がレール際にあるので

オープンレストにして、

 

クッションレール部分を利用するような

撞き方になっています」

 

――クッションレールを利用する?

 

「どう言えば良いですかね。

 

キューがクッションに対して

斜めに撞き出されて行く訳ですが、

 

この時に、

キューがクッションレールに当たって、

勝手に少し右側に逃げて行く。

その自然なキューの逸れを利用しています。

 

右回転を掛けますが、

意識的にキューを右の方に撞き出すというよりは、

真っ直ぐ撞くつもりでキューを出せば、

自然とキュー先が右に逸れるイメージですね。

 

でも、この配置をスタンダードブリッジで

撞いている人もいますので、一概には言えません」

 

――この映像、ボールやキュー先の動きは

イメージ通りでしたか?

 

「はい、今回は頭にあるイメージと

映像がほぼ重なっています」

 

――この時は”二度撞き”をしていると思いますか?

 

「いや、していないでしょうね。

もっとスローでくっきりした映像で観ないと

確実なことは言えませんが、

多分してないと思います。

 

前回よりちょっと自信を持ってそう言えるのは、

“自然とキュー先が右に逸れる”撞き方だからです」

 

――今回はキューミスも撮ってみました。

原因はなんだと思いますか?

 

「一言で言えば、

憧点がきつくなってしまっていた

(端すぎる撞点になっていた)から

ということになります。

 

なぜそうなるかと言うと、

 

”左手を置く場所”と”レストの向き”が

悪かったためということになります。

 

実は、左手を置く場所から何まで、

あんちょこがありまして、

その通りに左手を置いて、

あとは真っ直ぐキューを振れば

良いだけになってるんです。

 

だから、キューミスをしてしまった場合は、

あんちょこ通りに手が置けてなかったとか、

レストの向きが外側になってしまい、

憧点がきつくなってしまっていた

ということでしょう。

 

細かく見ていけば、

他にも原因はあるかもしれませんが、

 

この配置は、普通にチョークが付いていて、

タップがそんなに滑ってなくて、

ちゃんと正しい向きで構えられていれば、

そんなにキューミスは起こらないと、

僕は思っています」

 

…………

 

渡辺プロ、ありがとうございます。

 

 

さて、今回はここで終わりではなく、

 

渡辺プロが使っているキューにも

着目したいと思います。

 

渡辺プロは現在MEZZと契約しており、

 

アーティスティックの”平撞き用”

アーティスティックの”マッセ用”

(※上の画像には写ってません。追ってお届けします)

”スリークッション(3C)用”

 

……の3種のキューを供給されています。

 

渡辺プロは、

アーティスティックの”平撞き用”として、

 

ポケットキューの『CP13SW-MD』

(画像下側)を使っていて、

前回と今回の「切り引き」もこれで撞いてます。

 

このキューの純正シャフトは「WX700」ですが、

渡辺プロは「ハイブリッドプロ2」に換装しています。

 

渡辺プロ談:

 

「そもそも、

アーティスティックの平撞き用として

ポケットキューを使うのは、

 

特に切り引きや切り押しでは

全体的に少し柔らかいキューの方が

撞きやすくて良いからという理由です。

 

アーティスティックではハードショットを多用しますが、

その時にスリークッションで使うキューだと

キュー自体が強すぎてしまい、

効率良くスピンがかけにくいと感じています。

 

僕がアーティスティックの平撞き用キューで、

重要視しているのは、

直進性とパワーとスピンの乗りのバランス。

 

それを追求するために、シャフトは、

『WX700』や『ハイブリッドアルファ』など

他のものも含めてテストして、

 

結果的に『ハイブリッドプロ2』に落ち着きました。

 

実際にアーティスティックの配置を撞いてみた時に、

ハイブリッドプロ2が一番バランスが良いなと

思ったんです。

 

ただ、まだもう少し

アーティスティックに合うシャフトというものを

追求できる余地はあると思っているので、

そこはMEZZさんとも相談していきたいと思っています」

 

…………

 

画像に写っているもう1本の

シンプルなデザインのキューは、

”スリークッション(3C)用”のキュー。

 

これはMEZZのキャロムキューシリーズ

『CR』の中の、『CR13-rj』です。


渡辺プロ談:

 

「3Cではたくさんヒネって撞く球が多いですが、

 

WXC 3Cシャフトは見越しがかなり少なく、

ものすごく使いやすいです。

 

ほとんど厚み通りに撞けるので、

迷いが少なくなりました。

 

このキューは『CRシリーズ』という

キャロムキューラインナップの中で

一番安価なモデルですが、

“キューは価格じゃない”と言いたいですね。

そのぐらい良いキューです。

 

キューメーカーと契約するプロはだいたい

非常に高価で凝った作りのキューを

使わせていただいたりすると思うんですが、

 

MEZZのこのシリーズは

価格が手頃で性能が良く、

即戦力になるキューだと思っていますし、

 

プロがいわゆる”量産モデル”を使うと、

お客さんもキュー選びの際に

検討しやすいみたいで、

 

すでに今、周囲の何人かの人から、

“このキューが欲しい”と言われています。

 

あとは僕が、自分の3Cの成績で、

このキューのコストパーフォーマンスの優秀さを

証明するだけですね」

 

…………

 

渡辺プロ、ありがとうございました。

次回は「押し抜きダブルクッション」をお届けします!

 

…………

 

Hajime Watanabe

1983年3月9日生

東京都出身

JPBF入会2006年

2007年&2011年『全日本アーティスティック選手権』優勝

NABBI(東京・大塚)所属

使用キュー(3C、平撞き、マッセ)は全てMEZZ

 

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BD Official Partners : 

 

世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED

 

創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN

 

ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt

 

末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA

 

カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation

 

プレイヤーをサポートするグローブ&パウダー。TIE UP

 

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