〈BD〉「『あれっ、出来てる』という感じでした」――全日本女子プロツアー第1戦優勝・久保田知子の談話

Tomoko Kubota   Photo : Akira Takata
Tomoko Kubota Photo : Akira Takata

 

先週末、京都で行われたJPBA女子公式戦、

『全日本女子プロツアー第1戦』

 

本大会でプロ入り初Vを飾った

久保田知子プロの談話をお届けします。

 

取材は大会翌日に行っています。

 

…………

 

久保田プロは、

『女流球聖位』などのタイトルを獲得し、

国内女子トップアマだった2010年に、

 

『全日本女子プロツアー第2戦』に出場。

 

並み居るプロたちを押し退けて優勝し、

大きな話題となりました。

 

BDもその印象が強いせいか、

「今回、プロ入り初Vだったっけ?」と

改めて戦績を確認(ビリヲカさんで)。

 

「初」で間違いありませんでした。

 

周囲からも、「もう勝つだろう」と

言われ続けてきて早プロ6年目。

待望の初優勝です。

 

…………

 

1978年12月26日

JPBA45期生(プロ6年目)

山口県出身・大阪府在住

使用キューはADAM JAPAN(Kamuiタップ)

2010年『全日本女子プロツアー第2戦』優勝(当時アマ)

2015年『関西オープン』準V

2016年『全日本女子プロツアー第1戦』優勝

アマ時代に『女流球聖位』『全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会(アマローテ)』など全国タイトルあり

所属『アイオイステージ』(大阪)

 

今大会準決勝(vs 夕川景子)の動画 ↓

撮影:On the hill !

 

 

――ひと晩経った今のお気持ちは?

 

「これまで私を信じて応援してくださった方、

『きっと優勝できる』と励ましてくださった方に、

 

『優勝できたよ』と言えて良かったなって

思ってます。

 

自分の中では、

まだまだ優勝出来るような感触はなかったので、

 

『優勝しました』と言える日が来ると

思ってなかったんです」

 

――それは意外でした。

昨年は高いアベレージを維持していましたし、

「もうすぐ」と思っていたファンも

多かったと思います。

 

「そう思ってくださっていた方が

いるのもわかってたんですが、

『今はまだ……』というのが本音でした。

 

今年初戦の『関西オープン』では、

自分の悪い精神面がプレーに出てしまって、

『今年、まずいな』と思ってたぐらいですし。

 

でも、そう思ってくれている方たちの

期待を裏切らないような成績は欲しかったです。

 

不思議なんですけど、

今回は今までとは全く感触が違って、

『あれ、出来てる』っていう感じでしたね」

 

――その「出来てる」感覚というのは、

試合中にあったんですか?

 

「そう。何て言うのかな……

試合なんだけど試合じゃないというか。

 

悪い緊張や変な焦りが何もない状態というか。

 

決勝戦も、決勝戦っていう感じは

全然してなかったんです」

 

――今まで体験したことのないような

精神状態だったと?

 

「そう、全然違ってましたね。

 

なんでああいう精神状態になれたのか、

試合後にも結構考えていたんですけど、

今も明確な答えはなく(笑)。

 

ただ、『ああいう気持ち、ああいう心構えで

試合をしたら勝てるんだな』

ということはわかりました」

 

――内容的にはどうでしょうか?

よく撞けていたと思いますか?

 

「そうですね。

みんながビックリするようなミスは、

最後の8番くらいだったんじゃないかな(笑)。

 

私レベルならやるだろうっていうミスは

相変わらずいくつかありましたけど、

今回はそこまでたくさんはなかったと思います」

 

――充実感や喜びが湧いてくるのは、

この先かもしれませんね。

 

「優勝した瞬間、

ガッツポーズが出る人もいるじゃないですか。

 

私は全然そういう感じにならなくて、

『あれ、優勝か。優勝だ』みたいな(笑)。

 

今、仕事仲間とかに

『優勝したよ』と報告してるから、

自分でも『ああ、したんだな』と思いますけど、

 

単純に嬉しさで言えば、

準優勝の時(2015年『関西オープン』)の方が

よっぽど嬉しかったですね。

 

『ファイナル撞いた! こんなところ、

今まで来たことなかったのに!』って(笑)」

 

――プロ6年目での初優勝ということについては?

 

「早いも遅いもなくて、

今の自分の力で出来ると思ってなかった

というだけですね。

 

今までの準優勝とか3位というのも、

自分の中ではまぐれという感じです。

 

もっと上手く、強くならないと

優勝は出来ないと思ってました。

 

実力だけじゃなく、

生活面や環境面から言ってもそうです。

 

『この状態の自分では……』って

思っちゃう部分もあったので(苦笑)」

 

――過去の準Vや3位にも

「まぐれ感」があるんですか。

 

「はい。すごく運が良かったなと。

 

それは今回もですよ。

 

今回も運が良かったんだけど、

内容面を振り返れば、それなりに

『ちゃんと撞けたな』っていう実感もあります」

 

――全日本女子プロツアーでは、

アマチュアだった2010年に優勝しています。

当時と比べてプレーレベルは?

 

「それはもう、今の方が

明らかに上手になっていると思います。

 

当時の自分がどんな球を撞いていたか

覚えてないですけど、

全然内容が違うと思いますよ。

 

2010年の優勝は、

プロたちに『アマに負けられない』という

プレッシャーをかけることが出来て、

その上で、なんとか球が入ったり、

偶然が重なったりして手にしたという感じですが、

 

今回は自分なりにちゃんと内容にも

納得できています」

 

――この先の目標は?

 

「応援してくれている方々が

私にかけてくれている

『こうあってほしい』という期待に

応えていけるプロでありたいです。

 

今の自分のレベルだと、確信を持って

『優勝出来る』とはまだ言えません。

 

でも、まぐれかもしれないけど

1回優勝出来たので、

この1回だけで終わらないようにしていきたいです」

 

(了)

 

…………

 

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