〈BD〉「薄い球はなぜ入れるのが難しいのか」……を解説した西尾祐プロの図が秀逸

Tasuku Nishio
Tasuku Nishio

 

もうこの図で一発ですよね。↑

 

ちょっと難しい?

 

いや、BDはニブイ人間でして、

すぐにはわかりませんでした^^;

 

ちょっと噛み砕いてみましょう。

 

…………

 

前提として、

 

ある的球をあるポケットに狙う時、

 

的球を"ポケットの中心"に向かわせることができる

"狙い点"(手球を的球に当てる点。

「コンタクトポイント」などと言う)は、

 

厚みに関わらず「1点」だと言われています。

 

つまり、厚い球(真っ直ぐに近い球)でも

薄い球(角度が付いている球)でも、

当てる場所は一緒だし、

 

その1点に向けて手球を運ぶということは

厚みが厚かろうが薄かろうが一緒。

 

だから理屈上、厚い球も薄い球も

難易度は同じはずだ……

 

……と教わってきた人や、

そう結論付けていた人も多いと思います。

 

初心者向けのテキストや映像、

レッスンなどでは話を簡潔にするため、

そういう教え方をすることもあります。

 

しかし、数を撞けば撞くほど、

「実感として」薄い球になるほど

シュートが難しくなることに

多くの人が気付きます。

 

それはなぜなのか?

 

その理由を簡明に表した文章や

ヴィジュアルはほとんどありませんでした。

 

……という背景がある中で、

登場したのが西尾プロの図だった

という訳です(再掲)↓

 

 

※スロウやショットスピードによって

発生する「ズレ」は考慮しないものとします。

 

…………

 

トーナメントプロとして活躍し、

『バグース』で長年レッスンを行っている

西尾祐プロは、

 

「ずっと感覚的にはわかっていたんですが、

これまで上手く説明できなかったんですよ」

 

と語ります。

 

「ある日、初心者の方に

エニーボール(何を狙っても良いルール)で

入れる練習をしてもらっている時に、

 

その方が、他にも狙いやすい球があるのに

薄い球を選んで外してしまった。

 

そこで僕が、

『こちらの球の方が易しかったんですよ。

なぜかというと……』

とアドバイスをしたのですが、

 

そこで、『あっ』と閃きました。

 

ポケットの穴幅に対する

狙いの許容範囲の『幅』が、

薄い球になればなるほど狭くなるんだ。

だから難しいのか、と。

 

このことに基づいて描かれた図は、

これまで見たことがありませんでしたので、

自分で作ってみました」

(西尾)

 

…………

 

"ポケットの幅に対する狙いの許容範囲の『幅』が、

薄い球になればなるほど狭くなる"

 

……むむむ、どういうことでしょうか。

 

ここからは西尾プロの図を

テーブル上に再現して、写真で説明しましょう。

 

より視覚的にわかりやすくするために、

的球(1番)は穴前にセットしています。

 

…………

 

まず、真っ直ぐの配置。

 

 

1番のすぐ背後には

ポケットが口を開けて待ち構えています。

その幅、ボール約2個分。

 

この配置なら、

1番のどこに当てても入りそうな

気がしますよね。

 

 

その感覚は正しいです。

 

いわゆる「イメージボール」を、

 

1番がポケットの左端いっぱいに入る狙い点と、

右端いっぱいに入る狙い点に向けて

置いてみました。

 

この1番を入れることのできる

狙いの許容範囲の「幅」は、

ボール2個分ぐらいあることがわかります。

 

(※どんな配置でも2個分ではありません。

ポケットの幅やポケットからの遠さにより変わります)

 

この「幅」のどこかに

手球を当てれば1番は入る。

「当てさえすれば入る」ような状態です。

 

…………

 

続いて、1番の位置は同じままで、

手球の位置を時計回りに動かします。

つまり、厚みを「薄く」していきます。

 

 

薄くしたとはいえ穴前の球なので、

さっきの配置同様イージーに見えますが、

狙いの許容範囲の「幅」を見てみましょう。

 

 

どうでしょうか。

 

1番の位置も狙う穴も変えてないということは、

 

この1番をポケットの左側いっぱいに狙う点も、

右側いっぱいに狙う点もさっきと同じ。

 

なので、イメージボールを置くと

さっきと同じく2個並びます。

 

しかし、手球側(撞き手側)から見た

狙いの許容範囲の「幅」はご覧の通り、

「1.7~1.8個分」ぐらいになってますね。

 

狙いの許容範囲の「幅」が

狭くなったということは、

 

手球をより正確にコントロールして

運ぶ必要がある

 

=薄くなったので難しくなっている、のです。

 

…………

 

かなり薄い配置で見てみると、

もっとわかりやすいと思います。

 

 

これは見た目にも、

「だいぶ1番の右側に当てなくちゃいけない」

とすぐわかりますし、

 

撞き慣れた人ほど、

「厚みがシビアだな」と

実感としてわかっている球だと思います。

 

 

やはり思った通りでした。

 

手球側(撞き手側)から見た、

狙いの許容範囲の「幅」は一気に狭くなり、

1.3個分ぐらいしかありません。

 

いや、実際はもっと狭いのです。

 

どういうことかというと、

右側のイメージボール。

これはポケットの左端いっぱいを

狙う位置に置いている訳ですが、

 

撞き手側から見ると、

もはや「1番の向こう側」にあります。

 

厚み90度オーバーです。

 

そもそもこの配置では、

ポケットの左端いっぱいは

狙えないということがわかります。

 

それを加味すると、

狙い点の「幅」はもっと絞られてきます。

(1.1~1.2個分ぐらいでしょう)。

 

そこに正確に手球を運ばなければ

1番は入らない、

 

すなわち許容範囲がかなり狭く、

狙いがピンポイントに近い。

 

「薄くなればなるほど難しい」

ということがよくわかりますよね。

 

中~上級者向けに別の言い方をすると、

「薄い球での穴ブリが難しい理由」

もこれです。

 

西尾プロ談:

 

厚みが薄くなればなるほど、

狙いの許容範囲の『幅』が

"見た目上"どんどん狭くなっていく。

 

これは実際に『幅』が狭くなったのではなく、

手球の位置(視点)が変わることで、

『幅』が『奥行き』に

変わっていってしまうと

表現するとわかりやすいでしょうか。

 

『奥側』には手球を当てられないですよね。

 

とにかく、見た目上の

許容範囲の『幅』が狭くなるということは、

 

より精密に手球を運ぶ

コントロールが求められることになる。

 

だから『薄い球のシュートは難しい』

ということが言えます」

(西尾)

 

以上、噛み砕いてたら

すっかり長くなりましたが、

わかりましたか?

 

一度、テーブルで実験してみると、

もっとわかりやすくなると思います。

 

…………

 

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