先月、初めて足を運ぶことができた
尼崎の『小林撞球場』。
店内の雰囲気をお伝えしたいと思います。
創業77年。
そして、明日（12/7）で
お店は営業を止めてしまいます。
BDはこの記事を読んで、
閉店することを知ってから訪ねました。
扉を開けて来意を告げたBDは、
常連のお客さんに「遅いよぉ」なんて
笑われてしまい、
本当にその通りなので頭をかきつつ
平身低頭するしかありませんでした。
初対面のBDに、
丁寧にお店の歴史などを教えてくださった
店主の小林シヅヱさんや
常連のお客様、ありがとうございました。
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77年前（1937年。昭和12年）から
場所は変わらず。
阪神尼崎駅西口から
徒歩数分の住宅街の一角にあります。
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扉を入ってすぐの場所から。
店内にはキャロムの中台（四ツ球）が5台。
中央の壁で、
北側3台と南側2台に区切られています。
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77年前の開店時の写真。
着物姿の「点取り」（ゲーム取り）さん達が
写っています。
（※昔々、球屋にはお客さんのテーブルに付いて、
スコアを取り、読み上げる女性店員がいた）
この写真、よくご覧いただくと、
BDが撮った上の写真とほぼ同じ構図なんですが、
わかるでしょうか。
開店時の写真には、
テーブルを区切る「壁」がありません
（右側の女性3人がいる辺り）。
現在ある壁は、阪神淡路大震災の後に
補強のために作られたのだとか。
また、開店時の写真では、
右奥が一面の窓になっていますが、
ここも阪神淡路大震災の後に壁にしたのだそう。
「奥の壁が窓だった頃は、
コツンという球の音が外に漏れていて、
近所の方にも
『やってるなぁ、撞きたくなるわ』
なんて言われたものです。
ローテーションでしたっけ？
今はナインボールですか。
あれだとうるさくて
そうは言ってもらえなかったでしょうね（笑）」
（シヅヱさん）
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5台中4台のテーブルは
創業時から77年活躍してきました。
BDにもメーカーや種類はわかりませんが、
見た目にも非常にがっしりした造りで、
よく使ってもらい、
よく磨いてもらっているのでしょう。
現役の艶っぽさと逞しさがありました。
甚大な被害の出た
1950年の『ジェーン台風』で、
「台がここまで水に浸かったんです」と
シヅヱさんが手で示した高さは、
石版のすぐ下でした。
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戦後に進駐軍の兵士に
「どうしても」と懇願され、
創業時からの5台の内の1台を
やむなく譲ったため、
それ以降、1台だけ違う意匠のテーブルが
置かれています
（これもこれで味があるテーブルです）。
…………
板張りの床、窓枠、壁などは、
経年変化で飴色に光っていました。
「すみませんねぇ、片付いてなくて」と
シヅヱさんは言いますが、とんでもない。
清掃が行き届いていました。
…………
お客さんの入り時刻は黒板で管理。
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四ツ球の大会や交流会、対抗戦などの時の写真。
全国の四ツ球ファンが小林撞球場の閉店を惜しみ、
「最後に一度」と訪ねてくる選手もいるとのこと。
…………
プレーを見守るシヅヱさん。
「身体のあちこちが悪くなりましてね。
もうお店を開けてられなくなりました」
2011年に夫の光雄さんが他界。
以来約3年、一人でやってきました。
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挨拶をし、店を出ると、
一気に現代の住宅街に戻った気がしました。
閉めた戸の窓から見えた
温もりのある木の茶色と
鮮やかな羅紗の青さのコントラスト。
ここはまさしく「撞球場」でした。
ありがとうございました。
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