〈BD〉野武士の球2

一瀬励示氏(元JPBFプロ)
一瀬励示氏(元JPBFプロ)

 

(昨日からの続き)

 

久々に一瀬さんが

プレーする姿を見てから3週間後。

 

3C東京オープン』の会場に

一瀬さんの姿がありました。

 

単に見学に来られていたのか、

関係者との打ち合わせでもあったのか。

 

その辺はよくわかりませんが、

興奮気味に挨拶をする僕。

 

「先日『相馬』で

久しぶりにプレーを見ましたよ!」

 

「おう」

 

「初めの15分ぐらいしか見られなかった

ですけど、当ててましたよね」

 

「そうね。悪くなかった。

6キューで13-3ぐらいまでは行ったんだっけ。

 

でも、一球なぁ、裏回しで

キスをかわしに行って失敗した球があって。

 

そこから球回りが変わったね。 

アイツ(趙在浩)に行かれちゃったよ」

 

「それにしても、真剣に撞いてましたね」

 

「ん? ああ(少し照れ笑い)

 

まあ、趙とは縁があると言うのかな」

 

「縁ですか」

 

「そう。

俺が最後に勝ったジャパンカップ。

2003年なんだけど」

 

「ああ、現場にいました」

 

「優勝した日の……

確か前日か前々日に、

 

韓国の選手達が

俺の店(神奈川にあった『一瀬』)に

来てくれたんだよ」

 

「そうだったんですね」

 

 「当時はまだギリギリ韓国側が

日本人に胸を借りるような力関係だった

(※翌年から、ジャパンカップでの

韓国勢優勝ラッシュが始まる)」

 

「はい」

 

「俺は4人の韓国選手と撞いた。

それはまあ、俺の全勝だったんだけど

(中には翌年から2連覇する辛大權もいた)」

 

「その4人の中に……」

 

「最後の相手が趙だった。

 

その時が初対面で初対戦。

 

二十歳越えたばかりだったんじゃないの?

とても若かった。

 

韓国勢の案内役をやっていた方は

日本の人なんだけど、

その人がこう言う訳。

 

『この趙在浩という選手は、

国に帰ったら間もなく兵役に入るそうです。

一瀬さん、良かったら相手をして

あげてもらえませんか』

 

もちろんお受けしましたよ。

 

そしたら、ゲームを始めて驚いた訳。

『なんじゃこりゃ!?』って」

 

…………

明日完結編!