奥田玲生・2019世界ジュニア銀メダル

常に頭にあった「世界の表彰台」

2019年12月

 

まだ、2019年大会の開催地も

スケジュールも明らかになっていない

2019年夏頃に、

 

「世界ジュニアで優勝を目指しています。

それはもう何年も前から変わらない目標です」と

きっぱり語っていた奥田玲生。

 

ジュニア最高の檜舞台にかける思いが

彼女をここまで強くしたのかもしれない。

 

メダルの色は望んでいたものと違うけど、

堂々と戦いきった11月のキプロス

 

帰国から1週間以上経ったところで

大会を振り返ってもらった。

 

本題に入る前に、世界ジュニア前に参戦し、

初の全国アマタイトルを手にした

10月の『国体記念大会 in 鹿児島』について、

先に聞かせてもらった。

 

…………

 

Tamami Okuda

生年月日:2002年3月18日(高校3年生)

出身:神奈川県

ビリヤード歴:約9年

2015年&2016年『日本学生ナインボール選手権大会』(小中学生の部)優勝

2016年『全関東選手権』(女子級)優勝

2017年『全日本ジュニア9ボール』優勝(他、準優勝2回)

2019年『9ボールアジア選手権』ジュニア女子ダブルス優勝

2019年『9ボールアジア選手権』ジュニア女子シングルス3位(2018年も3位)

2019年『アマチュアビリヤード都道府県選手権大会』女子級優勝

2019年『世界ジュニア』女子の部準優勝(日本代表選出合計4回)

 

………… 

 

Photo :  On the hill !
Photo : On the hill !

鹿児島遠征は充実した2日間になりました

 

――まず、10月の『国体記念大会』(『第18回鹿児島国体県民参加プログラム大会・アマチュアビリヤード都道府県選手権大会』女子級)のことを。初めての全国女子アマタイトルです。

 

「全国タイトルはずっと欲しかったので、すごく嬉しかったです。周りの人達が喜んでくれたことが一番嬉しかったですね。『ああ、頑張って良かったなぁ』と思いました」

 

――優勝を目標にして出ていたのでしょうか?

 

「はい。私が出る今年(2019年)の国内アマチュア公式戦はこれが最後だったこともあって、神奈川予選を通った時から『優勝しよう』と思ってました。そのぶんプレッシャーもありましたし、4ラック先取のショートゲームなので緊張もしましたけど、得るものが多くて充実した2日間になりました」

 

――優勝という結果以外にも得るものがあったのですね。

 

「頭には常に『世界ジュニア』(11月)のことがあったので、その前に特設会場の新(さら)ラシャのテーブルで撞く経験を積んでおきたいと思ってましたし、『世界ジュニア』に繋がるような良いプレーのイメージを得られたら良いなと思ってました。その通りになったと思います」

 

――特設会場の新ラシャ、すぐ対応出来ましたか?

 

「新ラシャは久しぶりだったので、大会初日はなかなか合わせられなくて苦労しました。手球が引け過ぎたりとか。自分の状態は良くもなく悪くもなくという感じでしたけど、新ラシャに合わせられなくて自分で自分を追い詰めてしまった時もありました(※敗者側から決勝ラウンドに進んだ)。2日目も初戦は良くなかったですけど、2試合目ぐらいから少しずつちゃんと撞けるようになってきたかなと思います」

 

――準決勝は前年度覇者の佐原弘子選手(2020年よりプロ)に4-0で勝利。

 

「スコアは流れが良かったのでたまたまそうなっただけですけど、回って来たチャンスをちゃんと掴めた感じはあります。ミスもありましたけど、2日間で準決勝が一番集中できていたと思います」

 

――決勝戦(vs 荒木愛)は4-1でした。

 

「試合前は気持ち悪くなるぐらい緊張してました。準決勝から決勝まで結構待ち時間があって、その間にプレッシャーがどんどん強くなってきてドキドキしちゃって(苦笑)。それで序盤は全然ダメだったんですけど、徐々に落ち着いてきました。キーポイントになったのは第3ラックです。8番で回って来て、8番カットと9番ロングを入れて(※奥田選手が2-1にした)。あそこを取れたのは試合の流れ的にも大きかったですし、自分の精神面の成長も感じられました」

 

――どんなところが成長したのでしょうか?

 

「今までだったらああいう場面では弱気になったり撞き急いで外してたと思うんですけど、今回はおしぼりで手を拭いたりしながらしっかり間を取って、考えを完全に決め切ってから構えに入ることが出来ました。あの場面はすごく印象に残ってますし、あそこで落ち着いてプレー出来たことが『世界ジュニア』にも繋がったと思います」

 

Photo : Cyprus Billiards
Photo : Cyprus Billiards
Photo : Cyprus Billiards
Photo : Cyprus Billiards

準優勝は悔しい気持ちと嬉しい気持ち、両方です

 

――そして『世界ジュニア』へ。開催地はキプロスでした。

 

「『それ、どこ?』から始まって(笑)。やっぱりすごく遠くて、結局現地に着くまでに27~28時間ぐらいかかりました。(昨年までの開催地の)ロシアよりも大変でした。移動の疲れもありましたし、そもそも要項が発表になるのも遅くてフォーマットとかも正確にはわからない状況だったので、なにかと疲れる遠征でした」

 

――しかし、見事にファイナリストに輝きました。準優勝という結果については?

 

「すごく悔しい気持ちとすごく嬉しい気持ち、両方です。もちろん優勝を目指してましたけど、まず表彰台に上がることが目標だったので、決勝戦を撞けたのは嬉しかったです。それと、今の自分の精一杯、今年の集大成を出すことも目標でした。未熟な部分を含めてそれは出せたと思いますし、今後に繋がる良い経験になったと思います」

 

――向こうのテーブルコンディションは?

 

「テーブル(の台高)がかなり高くて、始めは違和感がありました。あと、こちらの認識不足もあったんですけど、現地に行ってみたら、ブレイクのラックは『9オンフット』だったんです。前日にそれを知って、さすがに練習も少ししか出来なくて、大会序盤は気持ち的にもちょっと追い込まれた感じで撞いてました。1回戦と2回戦が接戦になったのはその影響もあると思います」

 

 

↓ 準決勝試合動画

 

↓ 決勝戦試合動画

相手のガッツポーズを見て心に火が点きました

 

――ですが、2連勝で決勝ラウンド(ベスト8)へ。ベスト8以降で印象に残っている試合は?

 

「準決勝ですね。相手のロシアの選手(V・トルシュフスカヤ)はすごく強気なプレーをする選手で、勢いに圧倒されちゃうような場面もありました。私も良い集中状態が続いていたので、6-4でリード(9ラック先取)していたんですが、彼女が9番フロックインを出して6-6に追い付かれたんです。フロックを出した時、彼女はガッツポーズ(笑)。海外の試合とかだと割と見ますよね、そういう選手を」

 

――ええ、見ますね。

 

「それを見て、私の心に火が点いたというか。動揺することもなく、最後まで強い気持ちでプレー出来たと思います(9-7で勝利)。私が教わっている高橋邦彦プロは以前から私の精神面のもろさを指摘してくださっています。内容はともかく、まず気持ちの面で最低でも五分で戦える状態になければいけないと。あの準決勝はそれを意識しながらプレー出来たと思います。『こういう自分もいるんだ』と自分ではっきりわかったというか、試合ではこの自分をもっと出していかないといけないんだなと思いました。それに気付けたことは今後の競技人生にも大きな影響があると思います」

 

――決勝戦は呂翊瑄(台湾)に5-9で敗れました。

 

「呂選手は今年の『アジア選手権』ジュニア女子で優勝した選手で、よく知っています。決勝戦は自分の未熟な部分がもろに出たなというのが正直な感想です。悔しいのは、準決勝が終わって10分後ぐらいに決勝戦が始まることになり、急いでゼリーとかを補給して向かった感じで、気持ちの整理が出来ないまま試合に入ったこと。それに、試合の後半はあまり良い精神状態ではなかったなと思います。そのあたりがもう少し上手くできていたら、もうちょっと戦えたんじゃないかと反省しています。でも、それも自分の甘さが招いた結果だと思います」

 

――技術面の課題とは?

 

「クッションやセーフティが全然ダメで、判断ミスも結構してました。やっぱり全然知識がないんだなと実感しました。私はこの2年ぐらい、フォームやストロークを作り直すことに時間をたくさん費やしてきました。それはもっと上に行くために絶対に必要だと思ってのことでしたけど、結果は出ないし、撞いていても楽しくないし(苦笑)、経験と知識を増やせなかったなと思います。そういうところも含めて自分の未熟さがよく出た決勝戦でした」

 

――最後に。以前のインタビューでプロ志望だということを語っていましたが、それは変わりませんか?

 

「はい、具体的にいつなるかはまだ決まってませんが、プロになることは決めています。遅くても2020年12月のプロテストを受けたいと思っています。それまでに今回ダメだったところを少しでも修正していって、試合経験も積んで、プロとして恥ずかしくないプレーが出来るようになりたいと思っています」

 

(了)

 

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