〈BD〉「シーズン8開始! ICCS 2023日記・前編」――Detective “K” season8 episode01 

 

※2023 ICCS レポート by K

前編(本稿)

中編

後編

 

 

私の名はDetective K。

ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。

 

記録的な暑さの2023年。

心身ともに擦り切れそうな日々だ。

玉屋に赴くのも、時として苦痛なほどだ。

 

ブブブ……

 

BDからのメッセージだ。

 

『K、まずお知らせがあります。』

 

ん? なんだ、お知らせとは?

 

『キュー探偵Kは前回で終了です。

お疲れ様でした。』

 

……薄々気づいていたが、やはり終了か。

まぁ引退も時代の流れだな。

 

『それは大きな勘違いです。

シーズン7はやたら長くなったので強制終了。

新たにシーズン8を開始するのです。』

 

そういうことか!

 

シーズン7は2021年11月開始。

コロナ禍やら追悼記事やら、なんだかんだで

エピソード14まで行ってしまったからな。

 

『そうです。シーズン8の初回は

Kが最近行ったとウワサになっている、

アメリカでのイベントを報告してください。』

 

いわゆるICCSだな。

分かった、オレはキュー探偵。

シーズン8、引き受けた!

 

******

 

ICCSのプログラム
ICCSのプログラム

 

『インターナショナル・キュー・コレクターズ・ショー』

(ICCS)の概略を説明しよう。

 

キューとは「ファンクショナル・アート」、

即ち「用の美」を備えた道具である、

と提唱したキューメーカー、

ジョスウェストの故ビル・ストラウドが

主催し、2002年開始。

 

米国内で場所を変えながら

年1回のペースで開催された。

 

2010年以降は、米国のビッグコレクター、

ウィル・プラウト氏が引継いだ。

 

前回開催は2017年

その後、諸事情により中断し6年ぶりの開催。

 

ICCSの目的は、

キューメーカーとコレクターの交流。

 

キューメーカーにとっては、

最新作を販売する絶好のチャンス。

 

キューコレクターは、

コレクション展示とコレクションの充実。

 

貴重なヴィンテージから凝りに凝った

装飾の一本物までが、300本以上揃う。

 

超高価なキューだけに振り切った世界が、

2日間だけ出現する夢のイベント。

 

キャッチフレーズは”Never Be Ordinary”。

意訳すれば「ありきたりじゃダメ」だな。

 

******

 

◇ 9月6日:出発/到着

 

今回の開催地は、

オクラホマ州オクラホマシティ。

 

スタインバックの小説

『怒りの葡萄』の舞台となった州。

 

阪神タイガースファンならば、

シェルドン・ノイジーやランディ・バースが

オクラホマ大学出身というのはご存じだろう。

 

見渡す限り平野が広がるオクラホマシティ。到着時は気温36℃を超えていた
見渡す限り平野が広がるオクラホマシティ。到着時は気温36℃を超えていた

 

メンバーは、

UKコーポレーション代表・大原秀夫氏と

酔爺、そしてオレの3人。

 

ICCS初参加の2003年以降、

およそ不動のラインナップ。

 

我々が参加するからICCSは

「インターナショナル」なのだ、

という志を抱いて出発。

 

3人は羽田空港から

ロサンゼルスを経由して約17時間。

 

同日午後3時、会場のルネッサンス・

ウォーターフォード・ホテルに到着。

 

まずは時差ぼけ調整と会場周囲の把握。

 

夏時間ゆえ日はまだ高く、

36度を超える酷暑の中、

酔爺とオレは片道約1.6kmを歩き、

食糧・ビールの買い出しに赴いた。

 

アメリカの道ゆえ歩道はなく、

街路樹と芝生が植えられた車道脇を

歩かざるを得ない。

 

すぐ脇を時速70~80kmで

車が頻繁に追い越してゆく。

車道側にこけたら即死だ。

 

ところが到着したスーパーでは

ビールの購入を拒否された。

 

アルコール類販売規則は厳しく、

IDを提示して年齢確認が必須だという。

 

パスポートを宿に置いてきてしまった

我々は泣く泣くビールの購入は諦め、

1.6km歩いて帰還。

 

時差ぼけ解消には役立ったが、

これが翌日ちょっとした

アクシデントの原因となる。

 

この時点で出会ったICCS参加者は、

主催のウィル・プラウト氏と

実務担当のトム・ワッターズ氏、

そして数人のキューメーカーと

コレクターのみ。まだ盛り上がりはない。

 

軽い夕食後、キューメーカー、

ジェリー・マクウォーターに誘われ、

『Chester’s Billiards』という玉屋で

酔爺と3人で相撞き。

 

ここは軽量・頑丈なキューケースで

日本でも知られるJBケースの作者、

ジョン・バートンがオーナー。

 

『Chester’s Billiards』。14台のダイヤモンドテーブルとダイニングバーのある名店

 

 

3~4時間撞いて玉代をタダにしてもらえた。

太っ腹だ。だが酔爺は、玉代に見合うだけの

ビールを注文していたので、

売上には貢献しただろう。

 

部屋に戻ったのは午後11時。

長い一日がやっと終わった。

 

******

 

◇ 9月7日 前日イベント

 

午前中はICCS関連のイベントはない。

 

オレと酔爺は朝9時、

スーパーへ再び徒歩で赴いた。

 

パスポートを提示し、

ビール12缶(355ml缶)、

水4本(946mlボトル)、

ダイエットコーク2本(568mlボトル)を

無事購入。

 

良い運動と自分に言い聞かせながら

宿へ戻る途中、近づいてきたのが

1台の大型トレーラー。

 

「あっ」と思ったその刹那、

トレーラーの荷台が街路樹の枝に接触。

2mはある大きな枝が折れて

我々の眼前に落下してきた。

 

あと数秒早かったら、

直撃したかもしれない。

 

銘木と呼ばれる樹木にぶつかって死ぬのは

本望だが、街路樹ではシャレにならない。

肝を冷やした。

 

目の前に落下した街路樹の枝。酔爺と二人がかりで脇にどけた
目の前に落下した街路樹の枝。酔爺と二人がかりで脇にどけた

 

宿に戻るとキューメーカーや

コレクターが続々と到着、

にわかに活気を帯びてきた。

 

会うのは数年ぶりだが、

笑顔で握手とハグで挨拶。

 

まずは昼過ぎから、オクラホマシティ名物

『カウボーイ博物館』見学ツアーで

ICCS参加者と交流。

 

午後3時過ぎ、宿に戻るとロビーで

日本のEXCEEDスタッフと遭遇。

EXCEEDの展示キューを想像するに、

テンションが爆上がりする。

 

夜はキューメーカー、コレクター参加の

ICCSフレンドリー9ボールトーナメントを

『Chester’s Billiards』にて開催。

 

札幌市在住のビッグコレクター、

松實伸之氏がここで登場。

 

試合中、地元のプレイヤーや

キューメーカー、ケースメーカーも

交えてあちこちでキュー談義。

 

1枚目:Chester’sでプレーするUKコーポレーション代表・大原氏。キューはもちろんタッド8剣

2枚目:地元メーカー、Ronald Arnoldのキューとケース。ICCS関係者にここぞとばかりにアピールしてくるのは良くあること

 

 

ちなみに酔爺は敗者最終まで行った。

ポケットでもさすがだ。

 

オレはキューメーカー、エディ・コーエンに、

簡単な9番を飛ばして負けた。

 

これが後々の不運を暗示していたとは、

その時点では気づきもしなかった。

 

******

 

◇ 9月8日 初日

 

初日朝の全体ミーティング。スピーチは主催者のウィル・プラウト氏
初日朝の全体ミーティング。スピーチは主催者のウィル・プラウト氏

 

さて本日からICCSのイベント開始。

 

まずは朝9時から、

参加者全員ミーティング。

 

初参加者の紹介、

業界最新情報共有に続き、

ICCS恒例の特別製作キュー

『スペシャル・コレクション』披露。

 

これは参加キューメーカーが、

共通のテーマに沿って

1本ずつ製作したシリーズ。

 

購入すれば、

即有名コレクターの仲間入りとなる。

 

和やかな雰囲気は消え、コレクター達は皆、

キューを狩るハンターの目つきに変わる。

 

今回のテーマは”Midnight In Burl”。

 

黒檀とバールウッドを素材に

使用する以外はキューメーカー次第。

応じたキューメーカーは以下の通り。

 

画像左上より順に、

Arthur Queue(ドイツ)のマーカス・デンティエスト

Beasley Custom Cues(初参加)のダグ・ビーズリー

Eddie Cohen Cuesのエディ・コーエン

Capone Custom Cues(初参加)のマイク・カポーン

Mike Durbin Custom Cuesのマイク・ダービン

EXCEED Cues

Bob Owen Custom Cues(初参加)のボブ・オーウェン

Vigus Cues(初参加)のラリー・ヴァイガス

Shelby Custom Cues(初参加)のシェルビー・ウィリアムズ

McWorter Custom Cuesのジェリー・マクウォーター

pfd Studiosのポール・ドレクスラー

 

 

これらはサイレントオークション方式で

販売される(入札は主催者のみが把握。

誰が落札したかは終了後発表)。

 

開始価格は各メーカーがその場で宣言。

多くのメーカーが5,000~7,000ドルの

開始価格を設定する中、

pfdは驚きの77,000ドルを宣言。

会場内は一瞬凍り付いた後、

どよめきとため息が混じる微妙な空気となった。

 

Midnight Burl Collectionとそれに群がる参加者達

 

 

全てのキューが披露され、

ラックに並べられた全作品を

詳細にチェックするため全員が殺到。

 

この瞬間こそ、ICCSにおける

キューメーカーとコレクターの

間合いを測る絶好の機会だ。

 

そしてオレは、

どのキューがオークションで

競り合いになるか見当を付けた。

コレは午後からアツい戦いになりそうだぜ。

 

******

 

後編は、ドッタンバッタンの内覧会

及び一般公開の様子を紹介する。

 

次に続くぜ、BD!

 

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