〈BD〉「追悼 ジャック・ジャスティス」――Detective “K” season 7 episode 12

2018年にジャスティスにオーダーした「Detective “K” 」ケース
2018年にジャスティスにオーダーした「Detective “K” 」ケース

 

私の名はDetective K。

ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。

 

2023年6月13日(現地時間)、

キューケースメーカーの

ジャック・ジャスティス(Jack Justis)が

亡くなったと訃報が入ってきた。

享年83。

 

父の日を目前に控え、

この報せはとても悲しい。

 

今回は、約30年間に渡り

高級キューケースを製作。

独自のスタイルを確立した

彼の功績を紹介し、追悼としたい。

 

BD、勝手ではあるが今回は

オレの思い入れ優先だ。よろしくな!

 

******

 

ジャック・ジャスティス(Jack Justis)
ジャック・ジャスティス(Jack Justis)

 

ジャック・ジャスティスは、

1939年6月23日、

ヴァージニア州リー・モントの生まれ。

 

リッチモンド大学を卒業後、

アメリカ陸軍予備役を経て就職し、

フロリダ州に移住。

 

早くからモノ作りの才能があり、

1970年代から1980年代前半は

独学で釣竿製作を手掛けたり、

1950年代のアメリカ車を

レストアしたりしていたという。

 

彼の興味が、キューケース製作に

向かったのは1980年代後半。

 

映画『ハスラー2』による

ブームが起きていた時期と重なる。

 

ビリヤードを10代からプレーしていた彼は、

「キューケースには大きな可能性がある」

と、1989年に

『ジャスティス・カスタム・ケース』を

フロリダ州ココナツクリークで旗揚げ。

 

それまでの釣竿製作を止めて取り組むほど、

情熱と確信があったのだろう。

 

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↑プレイヤーが使用した実物

 

ジャスティス・ケースの特徴は、

上質な本革と真鍮製のリベットを

使用した重厚な作り。

 

収納部は、キューの塗装を傷つけないよう

布でカバーしたパイプを用いて、

大切なキューの保護にも

考慮した構造だった。

 

しかし、そのケースを

魅力的にしていたのはデザインだった。

 

当時、フラワーケースやタッドケースなど、

本革を使用したケースが

すでに存在していたが、

ジャスティス・ケースは

それを上回る仕様だった。

 

箔押しによるデザインや、

バイソン、オーストリッチ、馬革、

象革、ゼブラなどの高級皮革を

オプションで用意し、

しかも注文主の好みやニーズに合わせ、

キューの収納本数やアクセサリー

ポケットを変えることが出来た。

 

そして、最も巧みだったのは

マーケティング。

 

試合会場やビリヤード場に現れた

プレイヤーが担ぐキューケースは、

見る人々に強い印象を与える。

 

アメリカで活躍するトッププロたちに、

プレイヤーの名前を入れたケースを

供給したのだ。

 

しかもデザインは、

それぞれの好みに合わせて

全く異なるものだったにも関わらず、

間違いなくジャスティス・ケースと分かるもの。

もちろん大切なキューの保護は申し分ない。

 

プレイヤーのイメージと共に

「チャンピオンが選ぶケース」

としてその認知度は広まり、

多くの注文を受けるようになった。

 

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1990年代末の画像。『Super Billiards Expo 1998』か『1999』で撮影。手前側に写っているように、当時はケースをハンガーにぶら下げて展示していた
1990年代末の画像。『Super Billiards Expo 1998』か『1999』で撮影。手前側に写っているように、当時はケースをハンガーにぶら下げて展示していた

 

オレがジャック・ジャスティスに

初めて会ったのは、1995年3月の

『スーパービリヤードエキスポ』

(Super Billiards Expo)。

 

当時のオレは、キューケースと言えば

ジョー・ポーパーか角形のハードケース

ぐらいしか知らない駆け出し。

金銭に余裕はなく、ただ眺めるだけだった。

 

とはいえ、毎年のエキスポで

ジャスティス・ケースを見ていると

徐々に欲しくなるもの。

 

温和で笑顔を絶やさず穏やかな口調で

話しかけてくれる人柄にも惹かれた。

 

そこで「ひとついってみるか」と思い、

特注したのが2002年。

 

注文の際は、それまで製作したケースの

写真が入った分厚いアルバムを見せながら、

細かい仕様を決めてゆくという

スタイルだった。

 

まあ当時のエキスポでは、

20個ぐらい現物を並べて販売していたので、

その中から選んでもよかったのだが、

業者がまとめて買い、

売り切れることもしばしば。

特注した方が確実だったという面もあったな。

 

すぐ売り切れるエキスポでのケース現物。迷っていると買い逃した。2013年の『SBE』にて
すぐ売り切れるエキスポでのケース現物。迷っていると買い逃した。2013年の『SBE』にて

 

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やがて時は流れ、2018年。

 

ジャック・ジャスティスが

キューケース製作を止めるという話を聞き、

オーダーした顛末は、

本連載の『或るケースメーカーの引退

( Detective K season 3 episode 03 )

で述べた通り。

 

2018年にジャスティスにオーダーした「Detective “K” 」ケース
2018年にジャスティスにオーダーした「Detective “K” 」ケース

 

その後もぼちぼち製作を続け、

完全に止めると宣言したのは

今年(2023年)の5月15日のことだった。

 

アメリカの知り合いによれば、

亡くなる数日前に電話で会話したが、

元気だったとのこと。

 

本当に突然のことで、

彼のSNSアカウントには世界中の

ジャスティス・ケース所有者たちからの

哀悼の意を表すメッセージと、

それぞれが所有する

ケースの画像があふれている。

 

オレとしては、アメリカ南部の

紳士らしい穏やかな性格と、

誰とも分け隔てなく接する彼に

もう二度と会えなくなったことがただ寂しい。

 

現在は、軽量・コンパクトな合皮や布、

樹脂を用いたケースが主流となり、

ジャスティス・ケースを見かけることは

減ってきた。

 

日本では、混みあう電車やバスの中では

扱いに苦労する(個人的には電車の

シートで居眠りする際の支えとして

重宝するが……)のも確かだ。

 

革製品としての手入れも欠かせないなど

手間はかかるが、

キューを保護する点では申し分ない。

 

ジャスティス・ケースのオーナーは、

大切に扱って長く所有してほしい。

それが何よりの供養だと思う。

 

ご冥福をお祈りする。

 

…………

 

Detective Kとは? 過去記事は?

こちら

 

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