〈BD〉久々にタイトルホルダーがプロに。和田敏幸・元名人に聞いてみた

和田敏幸(Toshiyuki Wada) ※今年5月の『全日本14-1』にて。以下同
和田敏幸(Toshiyuki Wada) ※今年5月の『全日本14-1』にて。以下同

 

先週、全国で行われた

JPBA第49期後期プロテスト』で、


男子5名・女子2名の新人プロが誕生しました。


BDも試合会場でルーキーの皆さんに

会えることが非常に楽しみです。


プロになれば過去の経歴は関係なく

横一線のスタートだとはよく言われるところで、

実際、そうなのですが、


どうしたって経歴を見てしまうのが

人情でしょう。


大物アマのプロ転向は、

これまでも常に話題になってきました。


今回、ひときわ注目を集めている名前と言えば、

やはり『名人位』在位3期を誇った

和田敏幸選手(愛知)ではないでしょうか。


アマ全国公式戦の中で、

ローテーションを種目とする『名人位』と、


それに範を取って後年設立された

ナインボールの『球聖位』は、


「別格の個人タイトル」と言われ、


事実、多くの名人・球聖戴冠選手が

プロに転向するというルートが

確立されていました。


しかし、この約10年は、

名人・球聖からのプロ転向者ナシ。


直近で栗林達プロ

(2004年名人&球聖のダブルタイトル獲得後、

2005年プロデビュー)まで遡ります。


そんな経緯もあるため、

否が応でも注目を集める和田選手ですが、


なぜ彼が2015年の今、

プロ入りを決意したのか。


ご本人に直接聞いてみましたので、

以下でお届けします。


…………


Toshiyuki Wada

1980年1月29日生

島根県出身・愛知県在住

2009年『プレ国体』優勝

(全国アマチュアビリヤード都道府県選手権大会・千葉大会)

2011年~2013年『第51~53期名人位』(在位3期)

2014年『都道府県対抗』MVP

所属『Prog-ress』(愛知県西尾市)

 

 

――もともと和田さんは

プロ志望だったのでしょうか?


「はい、以前から興味はありました。


僕は山形大学の学生だった19歳の時に

ビリヤードを始めました。


その時はまだプロ志望ではなかったですが、


地元・島根に戻って働きながら(営業職)

ビリヤードをやっている頃に

徐々にプロの世界を意識するようになったんです。


2009年の『プレ国体』で優勝した時に、

その気持ちがより大きくなりました。


やっぱりタイトルを獲ると、

ちょっと先というか、

今後のことを考えるじゃないですか。


そこでプロの世界が

より一層現実味を帯びてきたと思います。


当時は島根で仕事をしていたし、

その後、愛知に移って来たんですが、


島根でも愛知でも、

プロでやっていくだけの環境作りは

なかなかできなかったです。

気持ちは持ち続けていたんですけどね。


やっとこの1年で環境が整ってきました」


――『名人』あるいは『球聖』を獲った

アマとしては、栗林達プロ以来、

約10年ぶりのプロ転向者となります。


「はい。

僕以外にも優れた選手がたくさんいますし、

中にはプロ志向の人もいるかもしれない。


でも、こればっかりは

出会いやタイミングもあると思うんです。


自分は今回、環境が整ったので、

プロになることを決断しました。


いずれは、他のプロ志向のトップアマたちも

プロになってもらって、

一緒に戦えたら良いなとは思います。


とはいえ、そういう自分も、


『プロになったらもうこれに出られないんだ……』

と思った大会がありますし、


実は天秤にかけていたところもあるんです」


――それはやっぱりあの大会ですか。


「はい、『都道府県対抗』です。


僕は11回出ました。

山形で3回。島根で4回。愛知で4回。


本当に優勝したかったけど、

愛知で出た3位が最高でした。


僕、3位4位5位6位7位は経験済みなんです(笑)。


都道府県対抗をテーマに、

みんなで飲んで語って喧嘩もして……(笑)。


あれほど皆で熱くなれる大会はないと思うし、

あれのお陰で僕はビリヤードが頑張れました。


あそこに出た仲間と、

あそこで戦った他県の選手のお陰で、

人間としても磨かれたと思っています」


――今回プロ入りを決意した、

直接的なきっかけや動機とは?


「本来は2014年の冬になろうと思ったんですが、


『JPA』が東海地方で前年に始まったばかりで、


自分もお店(Prog-ress)のオーナーとして、

そしてプレイヤーとして、

できるかぎりの協力をしたかったということもあり、

自分のことが後回しになっていました。


これ以上先延ばしにするのは良くないと思い、

今年5月の『都道府県対抗』を最後にして、

踏ん切りをつけたという感じです。


Prog-ressのオーナーになってから1年。

お陰様でお客さんに恵まれて、

なんとかお店も回っています。


その部分はプロ入りに際しては大きなことでした」


――今はオーナーだったのですね。


「はい。去年の7月に、

ここの前のオーナーさんが

店を辞めるということを知り、

自分が買い取ってやることにしました。


それまでは名古屋市内にいましたが、

今は西尾市です」


――今後、プロとして、

どれだけ試合に出られそうでしょうか?


「気持ちとしては全部出たいですけど、

現実的には全部は難しいと思っています。


自分が店を離れている間、

任せられるスタッフの確保のこととか、

色々とありますので、やはり状況次第です。


期間が長い試合や遠い開催場所の試合は

全ては出られないかもしれません」


――今後、どんなプロになっていきたいですか?


「ビリヤードの楽しさを伝えられる

プロになりたいですね。


トーナメントプロとしての秘めた目標も

あるにはあるんですけど、


それはそれとして、

まずは自分ができる範囲で

ビリヤードの普及に努めたいと思っています。


既にそういう活動に携わっている先輩プロも

多くいらっしゃいますので、


僕も少しでも

自分のやり方で貢献できたらと思っています。


僕はビリヤード場を経営しているので、

周囲の方・地域の方と協力しながら

ビリヤード活性化ができたらと思いますし、


一人でも多く、

『ビリヤード、楽しい』と思ってもらえる人を

増やしたいと思っています。


それが、プロとしての自分に与えられた

チャンスなのかなと。


自分にできることからやっていきたいと思います」


…………


ルーキー・和田敏幸プロの初戦は、

来月中旬の『ジャパンオープン』の予定です。

 

…………

 

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