2015年

5月

08日

〈BD〉混ぜるな危険。「セット」という言葉の使い方は?――セットマッチ方式の『球聖位決定戦』の前に……。

4月の『女流球聖戦』にて。セットカウント3-0、ゲームカウント6-6時
4月の『女流球聖戦』にて。セットカウント3-0、ゲームカウント6-6時

 

今週の土日、

アマチュアナインボール公式戦の

『球聖戦』の最終決戦が行われます。


会場は、現球聖(23期)の

大坪和史選手が所属する広島の『みゆき』。


まず、9日(土)に、

東日本代表・中野雅之(東京)

vs

西日本代表・木村隼人(岐阜)


という、『挑戦者決定戦』が行われます。

(ナインボール7ゲーム先取×3セット先取)


その勝者と、大坪和史球聖が、

翌10日(日)に、『球聖位決定戦』を戦います。

(ナインボール7ゲーム先取×5セット先取)

 

公式情報・速報などは

JAPA西日本のFacebookページにて

(USTREAMも予定されています)。


…………


さあ、そこで! です。


よくBDも質問を受ける

「セット」や

「セットマッチ」という表現について、


誤解・混同されている方もいると思いますので、


この機会に確認(と問題提起)を

しておきたいと思います。


先にBD的結論を言うと、


『「セット」という表現は、

今回の球聖戦のような

本当のセットマッチ方式

試合でのみ使うべき。


「ゲーム・ラック・点」の意味で、

昔から「セット」が使われているが、

それは混乱を招く』


ということです。


…………


順を追って説明しますと……。


まず、今回の球聖戦の

「挑戦者決定戦」と

「球聖位決定戦」のような試合方式を、


「セットマッチ」方式と言います。


1対1のロングマッチなどで

採用されることのある方式ですね。


JAPAが発表した今大会の要項を見ると

(話を「球聖位決定戦」だけに絞ります)、


「5セット先取(1セット7ラック先取)」


……と記載されています。


「先取」の読み方は、

「せんしゅ」でも「さきどり」でも良いでしょう

(前者の方が多いと思います)。


これは先に書いた

「7ゲーム先取×5セット先取」と同じこと。


とりあえず、

「ゲーム=ラック」と思ってください。


"ゲーム"も"ラック"も、

この場合には特別な意味はなく、

早い話が「点」(「ポイント」)です。


なので、このフォーマットが

意味するところは……、


1回9番を入れたら

「1ゲーム(1ラック、1点)」を獲得。


相手より先に、

合計「7ゲーム(7ラック、7点)」を獲得したら、


ひとつのセット、

つまり「1セット」を得ることができる。

ということです。

 

図示すると……↓

 


この図では、2セットを終えて、

セットカウントが1-1になりました。


球聖位決定戦は「5セット」先取なので、


相手より先に、

あと「4セット」獲得すれば、

「勝ち」となる訳です。


これが7ゲーム先取×5セット先取の意味です。

最短で「9番を35回」入れれば勝ちですね。


(※あくまで計算上は。

実際は相手が獲得したセットでも

9番を入れているはずなので35回以上になります)


主題から逸れますが、

セットマッチ方式の面白さは、


「たとえ総獲得ゲーム数は相手より少なくても、

獲得セット数で優れば、試合に勝てる」


という点にあり、

"肉を斬らせて骨を断つ"的な戦い方も

可能になるということ。


試合巧者と呼ばれる選手が

勝ちやすくなるフォーマットです。


単純に言って、

ロングゲームになればなるほど、

運勢に左右される余地が減り、

実力勝負になりやすいという面もあります。


そして、

「あと1点でセットを取れる」という

いわゆる「上がり際」が何度も訪れるので、


プレイヤー当人達も

観ている側もスリルを感じられる

というところにあります。


元に戻りますが、


このセットマッチ方式で

試合終了時、あるいは途中のスコアを

言葉で表す時は、


「セットカウント:選手A 4-1 選手B

ゲームカウント:選手A 6-5 選手B。


選手A、あと1点で5セット獲得。

タイトル防衛に王手をかけている」


……などという表現になってくると思います

(※国内ビリヤード界で確立された

表記はありません)。


とにかく、このような、


「1対1の対決において、

○ゲームを一つの単位(=1セット)として、

複数セットの先取り形式で競い合う」のが、


ビリヤードでの

「セットマッチ」の定義と言って良いでしょう。


(※ゲーム数は決めているけど、

セット数は決めずに、

ナインボールなどを撞くのは、

厳密にはセットマッチではなく、

セットマッチ風の相撞きということになります)


最短で「2セット先取マッチ」ですね。


2セット先取の場合、

最大で3セットを戦うことになりますが、

セットカウント1-1の時の状態を

「フルセット」と言います。


そう。


「セット」とは、


「ゲーム(あるいはラックや点)を

束ねた1単位である」

 

という風にご理解ください。


1セット=1点ではありません。


この理解がないと、

特に今回の球聖位決定戦のような

セットマッチ方式の試合を、


観たり、聞いたり、話したりする時に

誤解と混乱が生まれがちです。


…………

 

女流球聖戦にて。週末の球聖戦でもデジタルスコアボードとデジタルタイマー用モニターが使われます
女流球聖戦にて。週末の球聖戦でもデジタルスコアボードとデジタルタイマー用モニターが使われます

 

なぜ誤解や混乱が生まれるのか。


日本ではだいぶ昔から、


「本当のセットマッチ」以外の試合や相撞きでも、


「ゲーム(ラック、点)」の意味で、


「セット」が使われてきているからです。


1点のことを「1セット」、

最終ゲームのことは「最終セット」、

 

ダブルリーチ(ヒルヒル)状態のことを

「フルセット」と言ったりすることは

今なお頻繁にあります。


試合要項や選手のブログなどで

「セット」の文字を見たりすることも多く、


仲間と「セット」で会話をすることに、

全く違和感を覚えてない方もいると思います。


特に歴の長い方や、

昔ながらの「球屋」で撞いてきている人は

そうじゃないかなと思います。


BDは13、4年ぐらい業界にいますが、


会話や書類などで、

「ゲーム」(ラック、点)の意味で

「セット」が使われる率は、以前は8割オーバー。


今も5割ぐらいはあるように思います。


しかし、BDも含めたビリヤードメディアでは、


球聖戦のような本当のセットマッチ方式の

試合以外では、


「セット」は使っていません

(昔の『ビーマガ』さんでは使ってたかな……)。


それもこれも、

「何かと混乱が生まれやすい」からであり、


「本当のセットマッチ」方式の時の

フォーマットが説明しづらくなるからであり、


そもそも

「セット」という言葉の由来や起源が

判然としないから、です。


「セット」を目の敵にしている訳ではありませんが、

 記事の作り手として、

無用の混乱を招く必要もありません。


そこで、CUE'S誌では

早くから「ゲーム」で統一しています

(BDも同じく「ゲーム」です)。


"テンボール7ゲーム先取"とか

"第9ゲームで選手Aがマスワリ。"などと書いてます。


英語でも卓球などでは、


"He won five games in the first set "

(=第1セットで5点取った)

というように、

「ゲーム」を使って表現をするようです。


他方、アメリカ、フィリピンなど

ポケットビリヤードがプレーされている

英語圏では「rack(ラック)」という

単語が使われており、


向こうの大会レポート(英文)には、


"In Rack 11, ~"

"Got three racks." というような表現が出てきます。


On the hill !さんではこれを採り入れて、

「ラック」表記をしているのだと思います。


ざっくり言えば、

BDは「セット」を使わないなら、

「ゲーム」でも「ラック」でも良い派なのですが、


この件を仲間と議論していると、


一番シンプルなのは、

「点」「ポイント」なのではないか、

という結論に行き着くことが多いです。


"ナインボール7点先取"とか

"A選手が難しい9番を入れて1点を取りました"

という具合ですね。


"ゲーム"や"ラック"を使うとなると、

全くのビリヤード初心者には

一番初めに語句の説明がいるかもしれませんが、


(「なんで"ゲーム"が"点"なの?」

「"ラック"って何?」)


「点」「ポイント」ならそんな必要もありません。


BDは「ゲーム」に慣れていて、

深く考えずに10年以上使ってきていましたが、


ビリヤードの試合も

「点数」を競っているのだから、


ビリヤードを普段しない層に

競技の説明をしたり、

試合の実況を届けたいと思うならば、


確かに「点」「ポイント」が一番わかりやすいな

……と思い始めた今日この頃です。


「第○ゲーム」というように

「地点」を表す時の表現としては

「ゲーム」や「ラック」を残して、


「点数」を表す言葉は「点」にするというのも

良いのかもしれません。


…………


以上、とても長くなりましたが、

この「セット」問題は

一度は書いておきたいことでした。


皆さんなら、

「ゲーム」「ラック」「点(ポイント)」の

どれが良いと思いますか?


他に良い表現はあるでしょうか?


そして、どなたか「Set(セット)」が

国内ビリヤードで使われた起源をご存知でしたら

ご教示ください。

 

…………

 

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