数あるアメリカンカスタムキューの中で、
昭和の時代から日本国内に数多く流通し、
今なお多くのユーザーが愛用している
TAD Cue(タッドキュー)。
創業者として盛名を馳せたタッド・コハラ氏は
昨年お亡くなりになりましたが、
これからもTADブランドとそのキューの
輝きは失われることはないでしょう。
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さて、TADを集めている方は
世界中に多いと思いますが、
先日、僕は、
カスタムキューの販売をしている
『UK Corporation』代表・大原秀夫氏所蔵の、
レアなTADコレクションを見せて頂きました。
それは、
奥村健(元JPBA・現JPBF)
長矢賢治(JPBA)
角当哲朗(既にプロ引退)という
1970年代から活躍していた日本の名手3名が、
まさにその当時使っていたTADキューです。
どれも1970年代の「オールド・タッド」。
歴史的価値の高い逸品と言えるでしょう。
早速、大原さんのコメントも添えてご紹介します。
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●奥村健使用TAD
1976~1977年製と思われるモデル。
フォアアームに長短8剣の
エボニーのインレイハギ。
奥村健プロはTADを3本使ったとされていて、
これはその1本とのこと。
「入手した時には感動しましたね。
『奥村さんが使ったものか』と。
デザインは、1970年代から活躍していた
井上淳介さん(元プロ)が持っていた
TADとほぼ同じですね。
このスリーブのデザインは、
後世のものにも名残を留めています。
こういう長短8剣のデザインは
他のキューでも見られますが、
並べるとハギの太さは異なっています」
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●長矢賢治使用TAD
1970年代前半製と思われるモデル。
細長い菱型のインレイが目を引きます。
「これは昔から欲しかったものです。
7人ものオーナーを巡って、
最後に私が手にしました。
もう売る気はないですから、
『落ち着いた』と言えますね(笑)。
フォアのインレイのデザインは、
フローティングダイヤモンドのプロトタイプ。
ちょっとアグリー(ugly)なところが
あるけれど、
それも『同じものを作らない』という
タッドさんの誠実さゆえかなと思います」
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ちょっと長くなってきましたので、
3本目の「角当哲朗使用TAD」については
近日お届けします。