2013年

2月

24日

〈BD〉野武士の球3

趙在浩(左)vs一瀬励示(右)
趙在浩(左)vs一瀬励示(右)

 

(昨日からの続き)

 

元JPBFプロの一瀬励示さんが、

  10年前の趙在浩との初対戦を思い出す。

 

「撞いてすぐ驚いた訳。

『なんじゃこりゃ!?』って」

 

「それは良い意味で?」

 

「そう。

キューがどこまでも真っ直ぐ出てるんだよ。

 

『こんなヤツ、見たことねぇな』って。

それが印象に残ってるね」

 

「その後、この10年で趙とは?」

 

「撞いてない。

 

会ってはいたし、交流はあったよ。

 

僕とずっと付き合いのある

韓国の選手達が何人かいて、

そこに趙もいたし、

 

彼らが日本に来た時には

食事に連れて行ったりしたしね。

 

ほら、その後、俺、

段々試合に出なくなっていったでしょ。

 

だから対戦する機会はなかった」

 

「趙の活躍は耳に入っていました?」

 

「もちろん。

 

それに周囲の人から、

たまに言われることがあったんだ。

 

『趙在浩のプレーって

一瀬さんと似てる気がする』って」

 

「ああ、確かに。

 

僕は3Cのセオリーを

語れるほど詳しくはないですが、

お2人はキューの使い方が似てると思います」

 

「おう、そう思う? 嬉しいね。

まあ、2人とも小柄だしな。

 

それに。

 

やっぱり世界のレベルというものを

感じてみたいじゃない。

 

だから、今回、

こういう機会があると聞いて、

『これは……』と思ったよ。

 

10年越しに

今度はこちらが趙を指名してさ(笑)」

 

「感じられましたか、世界を?」

 

「あの試合、こう言っちゃ悪いけど、

 

日本のプロ達が相手だったら、

まだ俺に勝ち目のある展開だったね。

 

でも、趙は球回りが変わった時に

一人で行き切っちゃったからね。

 

さすがだなと」

 

…………

 

長くなりましたが、

一瀬さんがなぜ趙と

あそこまで真剣に闘っていたのか、

その謎がこうして解けました。

 

楽しそうに饒舌に

振り返って下さった一瀬さん。

 

僕はツイてました。

 

「最近どうですか?

良いネタありますか?」

なんて聞いて回らなくても

すぐそこに実っていた訳ですから。

 

掴むだけで良かった。

 

それにしても……。

 

「じゃあ、ちょっと

力を見せてもらいましょうかね」と

挑んで行ける一瀬さんてすごいな……。

 

プロとかアマといった肩書きは関係なく、

きっと好きなんですよね、勝負が。

 

そして、10年前の2人の初対戦、

それも見たかったなぁと思った次第です。

 

…………

 

余談ですが、

 

趙在浩と初めて撞いた日の

翌日か翌々日に、

 

一瀬さんはジャパンカップで

3度目の優勝を果たすことになるんですが、

 

そのファイナル開始前に

一瀬さんは相手のプロに

啖呵を切っていました。

 

(一部では?)有名な話です。

 

ご本人もそのことを、

ビリヤード用語を使ってこう言います。

 

「口パンチを入れてやったんだよ(笑)」。

 

(汚い罵り言葉を言った訳じゃないです)

 

なんて勝負にアツいんだ、一瀬励示。

 

この啖呵切ったエピソードも、

相手のプロからも許可とコメント取って、

いつか原稿にしてみたいものです。