BAGUSメモリーLast

スタッフが番号を上にしてきっちり並べておく、定番のBAGUSセッティング(そして以下長文御免)
スタッフが番号を上にしてきっちり並べておく、定番のBAGUSセッティング(そして以下長文御免)

 

(承前)

ゲームが終わってからも立ち去りがたく、

僕はMさんに色々と話し掛けました。

 

ウブすぎて不憫に思ったのか、

Mさんも色々と教えてくれました。

 

例えばゲーム中に僕が遭遇した、

どうすれば良いのかわからない配置について。

今の僕が練習すべきショットについて。

 

それから、タップのこと。

「何付けてるの? あ、ブルーなんだ?

モーリって知ってる? あれはいいよ」。

 

Mさんがマイキューだったか

ハウスキューだったかは覚えてないクセに、

そんなことはよく覚えています。

 

音楽雑誌にいて、取材することには慣れていたので、

さり気なくMさんの素性も聞き出しました。

 

曰く、

仕事はビリヤード場のスタッフで、

今日は遅番の仕事を終えてからここに来た。

最近よく撞くのはスリークッションの方。

 

多分、Mさん、本当はBAGUSで熱い勝負が

したかったんじゃないかなと今は思います。

間違ってトッポイの捕まえてしまったから、

楽しむビリヤードに切り替えた、と。

 

別れ際に名前まで聞きました。

「M」は本当のイニシャルです。

 

………………

 

1年後、僕はCUE'S編集部員になっていました。

 

それから約10年の間に3、4回Mさんを目撃しています。

大会の取材に行った際に観客席にいたのです。

スリークッションの大会です。

 

誌面の試合結果のページで

写真を載せ、名前を記入したこともあります。

 

でも、僕から「あの時はどうも」と言ったことはありません。

きっとMさんは忘れているだろうし、気恥ずかしかったので。

 

そうこうしている内に一昨年か去年、

Mさんは東京を離れたということを知りました。

 

この先会うことは多分ないでしょうねぇ。

万が一お会いしてもやっぱりこの話はしないだろうな。

 

なので、ビリヤードの相撞きの楽しさを

教えて下さってありがとうございます!

と勝手に思っています。

 

誰にだってこんなエピソードは星の数ほどあるでしょう。

 

ただ仕事や遊びで道玄坂店に行く度に

今も僕は思い出すのです。

 

11年前の僕は全く想像だにしてなかったですよ。

 

未来の僕が仕事でBAGUS道玄坂店に来て、

カーリー取材したり、西尾プロ取材したり、

友達とビール呑んだり、一人で球を転がしたり、

(下の階のユニクロで下着買ったり……)、

することになるなんて。

 

相撞きで使ったテーブルがあった場所には、

今はダーツが置かれています。

そんなものです(笑)

 

でも、お店が続いているだけ有り難いと思うのです。

 

……という青臭いメモリーでした。

長くてすみません。