栗林達・JPBAプロ

「プレースピード」徹底インタビュー

続き(Page 3)

1球あたりだいたい10秒。判断を速くしました

 

――タイムルール制についてはどう思っていますか?

 

「あるべきですね。プレイヤー的にもそうですし、ギャラリー視点でもそうでしょう。プレイヤーは、タイムルールを意識することでリズムが出てくるし、リズムに乗る自分というものを知り、『どういうリズムが自分に合っているのか』というところにも気付けると思う。ギャラリー的にもタイムがあれば飽きないと思います」


――国内では「45秒」が多いですが。


「理想は40秒もしくは35秒かな。45秒は遅いと思います。毎ショット、時間いっぱいまでかけるプレイヤーを観ていると飽きるでしょうね。僕が飽きましたから、自分の試合で(笑)」


――(笑)。


「他の人の試合なら、自分と考え方から何から違っているので新鮮に観られるんですけど、自分の試合は『こう撞くんだろ』とわかるので全然面白くない(笑)。その上、遅いし、変な仕草してるし、手球が出た所、全然嫌じゃないのに嫌なふりしてるし。もう、なんなんだ? と(笑)」


――(笑)。エクステンション(時間延長)は有りで良いですよね?

 

「エクステンションは欲しいですね。国内では"ワンラックにつき1回"という試合ばかりですが、2回あると良いかな。僕の理想は『35秒ルール・エクステンション2回』ですね。全体的に速く撞かないといけない代わりに、エクステンションは2回取れると。ナインボールやテンボールで時間をかけたいタイミングって2回あるんです」


――ブレイク直後と、トラブルになってる球?


「そう。ブレイク直後に使いたくなることが多いんだけど、"ワンラックにつき1回"のエクステンションだと、配置を見て躊躇することがあります。『中盤のあそこでも、時間使いそうだしな』って。海外で良いなと思ったのは、ブレイク直後のターンだけ時間が長いタイムルール。エクステンションを使わなくても、始めから60秒なら60秒あって、それ以外にワンラックにつきエクステンションが1回ある。そんな納得度の高いルールもあります」


――タイムルールは選手たちのプレー内容に影響すると思いますか?


「個人差もあるし、何秒にするかによるでしょうけど、基本的に悪影響はないと思います。『タイムルールで縛るとミスが増える』という懸念もあるみたいですが、そうなるとしても最初だけで、慣れてしまえばそんなことないし、絶対にみんな順応するはず。最近速くしてみた自分の経験上、そう思います(笑)」


――栗林プロは具体的に、どの部分を速くしたんですか?

 

「判断です。悩めば悩むほどイメージがぶれ、時間がかかる。多くの人が、イメージがない球で時間をかけるんですよね」

 

――栗林プロでもイメージがない球がある、と。

 

「必ずありますよ、イメージがないっていうか、『イメージに合わない』と言ったらいいですかね。そうなると、『これがいいかな、でも他にもあるし』って考える。でも、他のことを検討してみても、大抵は最初にイメージしたものに戻って来ます。それだったら、最初に思っていることをやれよって話なんですよね」

 

――よく「ファーストチョイスがベターチョイス」と言いますね。

 

「一番身体が反応してるから、身体がまずそっちを向きたがる。ならば、それを選べと。だから、アドレスとか素振りを短縮した訳じゃなくて、 判断を速くしただけ。それだけで速くなりましたね。だいたい1球あたり10秒速くなれたと思います。普段、『30秒』のコールがかかってた球を20秒で撞く。じっと数えてみると20秒って結構ありますから、撞き急いでると思われるような秒数じゃありません。むしろ、一定の速めのペースで撞こうとする意識というのは、精神面を落ち着かせることにも繋がると思います」

 

――栗林プロの中で、良いリズムを持っているなと思う海外の選手とは?


「最近興味深く観ていたのは、台湾の張玉龍(ザン・ユーロン)。表現が難しいですけど、"ゆったりしているのに速い"んです。みんなは『上手いから速い』って言いますけど、彼は判断が良いから速く見えるんじゃないかなと。ポジションプレーに変な欲がなくて、意図的にミドルレンジを選ぶことが多いですから」


――言われてみたら……。


「台湾トップクラスの3人の中で、常にベストショットを選んでいくのが張榮麟(ザン・ロンリン)。ロングでも良いっていう割り切りが見えるのが柯乗逸(カー・ピンイー)。張玉龍はその中間だと思います。そして、張玉龍のリズムがゆっくりに見えて一番安定して速め。ここにヒントがあると思うんですよね。

 

 彼の中では、調子に乗って手球を近付けに行かないというのと、ロングにしてショット力に甘えないっていうのの中間を取ってるんじゃないかな。そして、相手のプレースタイルやリズムに引きずられることもない。それがあのゆったりなのに速いというテンポを生んでいると思います。日本人で張玉龍のリズムやスタイルに近いのが鈴木清司プロじゃないでしょうか」


――それも言われてみるとわかりますね。……さて。GPE-3はプレースピードの変化の過程で勝ちました。今後も今のプレースピードは維持しながらやっていくんですか?


「スピードはどうなるかはわかりませんが、新しい自分になっていくしかないですね。戻っても戻れないと思います。もう以前の自分と思考が違ってしまっているので。タイトル獲りたい、ランキング1位になりたいとか、色々な欲がありますけど、それより純粋にレベルアップしたいですね。自分のレベルを上げれば、タイトルは絶対に後から付いて来ると思ってます。年齢的にも伸びしろが小さくなっていて、伸びていける期間もあと数年だと思っているので、危機感を持って練習にも試合にも挑戦していきます」

 

 

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