女流球聖戦2015の"デジタルタイマー"とは?

その狙いと効果を、主催のJAPAとプレイヤーに聞く

2015年4月

中央がデジタルタイマー用モニター
中央がデジタルタイマー用モニター

 

「タイム」が可視化されると

試合観戦は面白い。


4月4日&5日に行われた『女流球聖戦』の、

「挑戦者決定戦」と「球聖位決定戦」では、


初めて"45秒タイムルール"が採用された。


そして、選手の残り時間は、

タイムキーパーが手元のストップウォッチで

計測するのではななく、


すぐ近くに置かれたモニターに

絶えず映し出されていた。


国内ポケットビリヤード界では、

タイムルールが導入されている試合が

いくつかあるが、


こういった

"時間が見えるデジタルタイマー"を

使った試合はほとんど記憶にない。


この狙いと実際の効果のほどは

どうだったのだろうか。


デジタルタイマーを導入したJAPA

(日本アマチュアポケットビリヤード連盟。

通称「アマ連」)の大島知幸事務局長、


実際に試合でプレーしていた

米田理沙・挑戦者、

そして、佐原弘子・現女流球聖、


 

……という三者に話を聞いてみた。


写真協力/On the hill !、タカタアキラ

取材・文/BD

 

…………

 

参考動画↓ 球聖位決定戦第4セット(最終セット)

試合は3分30秒頃からスタート

●その1/JAPAさんに聞いてみた!

語り手:JAPA大島知幸事務局長

 

――デジタルタイマーを導入しようと思った動機をお願いします。

「まず、デジタルタイマー以前に、今年から挑戦者決定戦と女流球聖位決定戦ではタイムルールを最初から採用することにしました。

 

 昨年度大会が長時間に及んだこと、それから、USTREAM中継の視聴者を増やすためというのが、タイムルール採用の主な理由です。長考が増えると観ている方も飽きてしまうと思いましたので。


 そして、このデジタルタイマー導入の理由は、選手が集中している時にレフェリーの声で15秒前のコールやカウントダウンをされるより、デジタル音で告知される方がプレーに支障が出にくいのではないかと思ったからです。また、選手も目で時間を確認できることによってプレーがしやすくなるのではないかと思いました。

 

 それに加えて、USTREAM視聴画面でも時間が見えることによって、視聴者が飽きずに見続けられるようになるのではと考えました。これは、私自身がスヌーカーやキャロムの試合映像を見て感じたことです」


――JAPAの試合でデジタルタイマーを導入したのは今回が「初」でしたか?

「初めてになります。タイムルール自体はJAPAの特設会場開催の試合(『都道府県対抗』、『全日本アマローテ』)で採用しております」


――このデジタルタイマーはお手製と聞いています。必要になった機材やソフトなどは? また操作は簡単ですか?

 

「iPadの『楽タイマー』というアプリを使い、それをモニターに映しています。誰にでもすぐ扱えます。ちなみに、"デジタルスコア"の方はPCでパワーポイントとイラストレータを使い、モニターに映しています。こちらもPCを使った事がある人を対象に考えますと、操作はすぐにわかります」

――デジタルタイマーを実際に試合で使ってみてどのような感想をお持ちですか?


「おおむね良かったと思います。まず選手は、時間を確認しながらプレーしていましたし、すぐに慣れてくれていたように思いました。

 

 そして、視聴者に聞いた訳ではありませんのであくまでも予想ですが、事前に思っていたように、数字が見えることによって選手のプレーを待つことのストレスが軽減されますね。例えるなら、待ち時間の出る歩行者信号みたいな効果でしょうか(笑)。

 

 それに、タイムキーパーの負担も少なくて楽です。従来ですとタイムキーパーは、選手に声が届くように選手の近くにいるのですが、今回は運営席に座ってできました。そうすることでミスが減りますし、途中交代もやりやすいです。


 一方で改良点としては、まず告知の音とタイミングを変更することでしょうか。もう少しストレスのない音に変更できたら良いと思っていますし、現状では15秒ごとに音が鳴るのですが、できれば15秒前の1回のみにしたいと思っています。今回はフリーのアプリを使っているので、その辺りは現在開発中の別のタイマーで設定できることを期待しています」

――今後、別の試合でも使う予定ですか?

「5月の『球聖位決定戦』では使用します。9月の『名人位決定戦』でも使用する予定です。将来的に、JAPA主催大会のUSTREAM専用テーブルには全て導入できるように、機材、システム等々を改良していければと思っております」

 

●その2/プレイヤーに聞いてみた!

米田理沙(Risa Yoneda)
米田理沙(Risa Yoneda)

語り手:米田理沙(挑戦者)

 

「デジタルタイマーの試合は初めてでしたが、私はやりやすかったですよ。便利だなぁって思ってました。特にジャンプキューやキューエクステンションやレスト(メカニカルブリッジ)を取り出して用意する時に、あと何秒残ってるかが一目瞭然なのですごくやりやすかったです。


 画面の眩しさとか数字のちらつきなどは気にならなかったですね。音も気にならなかったです。『あの音、気にならない?』って他の人にも結構聞かれたんですが、元々私は撞いている時に周囲があまり気にならない方なので、『全然』って(笑)。

 

 15秒経過した時(残30秒時)にまず1回目が鳴ってくれるのは個人的にはやりやすかった。タイムルール採用の試合は他にもありますが、普通、1回目のコールは30秒経過した時(残15秒時)なんですよ。でも、今回はまず15秒で鳴ってくれるので、『まだ15秒しか経ってないぞ』と落ち着くことができましたね。『まだここから30秒あるな』って余裕が持てたというか。

 

 私はタイムルールそのものには賛成でも反対でもなく、どちらでも良いという考えなんですが、この先このデジタルタイマーが他の試合に導入されても私は構わない……というかむしろ歓迎ですね。

 

 個人的に理想のタイムルールとしては、ワンラックに1回『無制限エクステンション』が欲しいですね。それだとタイムルールの意味がないかもしれないけど(笑)。私はショット選択で悩む球の場合、45秒増えたぐらいじゃ足りないんですよね。無制限で1度あるといいなぁと思います」

 

佐原弘子(Hiroko Sahara)
佐原弘子(Hiroko Sahara)

語り手:佐原弘子(現・女流球聖)

 

「ああいう形のタイマーは私も初めてでした。前日の『挑戦者決定戦』をUSTREAMで観てた時は『目障りじゃないか』、『眩しくないかな』、『15秒ごとに音が鳴るのはタイミングが取りにくいんじゃないか』などと思ってました。

 

 その後会場で挑戦者決定戦の終わりの方を少しだけ生で確認して、試合後はタイマー有りで練習できたのですが、撞いてみたら思ったほど気にはならず、違和感は最初だけですぐ慣れましたね。


 いざ試合が始まったら、テーブル上に集中できていたせいか、眩しさなどはさほど感じませんでした。音に関しては、普通のタイムルールだと30秒経過した時(残15秒時)に初めてのコールがありますが、今回は15秒経過した時(残30秒時)に1回目が鳴るので、『まだあと30秒ある』という気分になれて意外と余裕を持てる気がしましたね。

 

 ただ、私は音と同時にショットをするのは無意識で避けていたようです。やはり身体がどこかで嫌がっていたみたいで……。だから、私はほとんどのショットを、1回目の音を待って2回目の音が鳴るまでの間で行っていたような気がします。そういうタイミングを無意識に計っていた感じ。そこを越えて、残り5秒のカウントダウンにまで入った場合は、撞かずにエクステンションを選択しました。


 私はタイムルールには賛成です。ただ、個人的に言うと……将棋の対局のようにそれぞれの選手に持ち時間があって、残りのタイムをどの球でどう配分して使おうがその選手次第! というルールにならないかなぁと思いますけどね(笑)」

 

 

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