女子アマ対談・佐原弘子&米田理沙

第5期女流球聖戦のオモテとウラ

2013年6月

佐原弘子第4・第5期女流球聖
佐原弘子第4・第5期女流球聖
米田理沙挑戦者(第3期球聖)
米田理沙挑戦者(第3期球聖)

 

2013年4月に大阪で行われた

『女流球聖戦・球聖位決定戦』。

 

今年で5期目となる女子アマ

No.1決定戦のテーブルについたのは

 

タイトル防衛を目指す

佐原弘子・現球聖と

 

返り咲きを狙う

米田理沙・挑戦者。

 

以前から関東でしのぎを削る

ライバルであり仲間でもある

2人の対決は、

 

佐原球聖の防衛達成という

形で決着した。

 

その球聖戦から半月後、

佐原・米田両選手に

 

熱戦の舞台裏から

女流球聖戦への思いに至るまで、

率直に語ってもらった。

 

プレー写真:タカタアキラ

写真・文:B.D.

 

※取材時の模様は

こちらこちら

 

※女流球聖戦前の

佐原選手のインタビューはこちら

 

慰める訳ですよ、翌日の対戦相手の私が

 

――球聖戦が終わって半月ほど経ちました。

 

佐:試合直後は防衛できた喜びがあって、大阪(開催地)から地元(千葉)に戻ってからもモチベーションが高く、反省点を練習したりしてました。ヨネちゃんの良かったショットを試してみたり。

 

米:パクらせないよ(笑)。

 

佐:(笑)何日かそういう状態が続いてたんですけど、その後、緊張の糸が切れたみたいで疲れが出ちゃって。全く球を撞かない日も何日かありました。

 

――今はもう大丈夫?

 

佐:ええ。たぶん一瞬燃え尽きたんでしょう。未だに思い出すのは、表彰式で司会の女性に「感想は?」と聞かれた時のこと。出てきた言葉は「嬉しいです」だけで、気の利いたことが言えなかった(笑)。

 

米:覚えてる(笑)。でも、言えないもんだって。

 

佐:実は私、前夜までは負けた時のコメントを考えてたぐらいで。

 

:(筆者に)あ、聞いてくださいよ。ひどいんだよ、弘子。前日の夜中12時くらいにLINEで、「どうしよう。球が入らない」って。

 

佐:うん、送った。

 

米:最初は「そんな作戦には乗らないぞ」って返したんです。そしたら「信じなくてもいいんだけど、本当に球が入らないんだよ」って言うからしょうがない。慰める訳ですよ、翌日の対戦相手の私が。「いや、そういう時もあるけどさ……」みたいな。

 

一同:(笑)

 

――米田さんの球聖戦の感想は?

 

米:これといってないんです。たぶんテンパってたんでしょう。そして、毎年この時期って色々と試合が続くし、何かと忙しくしてて振り返る間がないというか。

 

――へえぇ、感想がない?

 

米:もちろん特別な大会ですよ。特に挑戦者決定戦と球聖位決定戦は、わざわざ神奈川(米田選手の地元)から大阪まで仲間が応援に来てくれますし。

 

――そういう舞台だからこそテンパりやすくなる?

 

米:たぶんそうです。自分の気持ちが追い付かない。私は基本、結果重視で、「まずは勝つこと一番!」という考えなんですけど、一回勝っちゃうと次から内容を気にしちゃう。そうするとボロボロになるんです(笑)。

 

佐:わかる(笑)。

 

米:去年の球聖位決定戦(今年と同じく米田vs 佐原)がそのパターンでした。というか私、女流球聖は今年が第5期でしたけど、その内4回大阪に行って、3回負けてるんですよ(笑)。

 

佐:その大阪行きのアベレージの高さは羨ましい(笑)。

 

休憩の時に「もうちょっと頑張ろうよ」って

 

――さて。今回の球聖位決定戦、お2人とも自分のプレーに納得はできてないようですね。

 

佐:2人合わせて、35ラック目で初マスワリですからね。

 

米:これは……ねぇ。

 

佐:ブレイクが……とか、配置が……とか色々ありますけど、単純にシュートミスが多かった。

 

――互いに意識していて硬くなったとか?

 

米:それは関係なくて、私達のコンディション対応能力のなさだと思う。

 

佐:うん。「下手だなー」って自分で思ってたからね、撞いてて。そうすると、「応援してくれてる人に申し訳ない」って気持ちが出るのが球聖戦。だから、1回目か2回目の休憩の時にヨネちゃんと2人で「もうちょっと頑張ろうよ」なんて話をして。

 

米:そうそう。でも、ブレイクはホントダメだったなぁ。前々日から色々と試してたんですよ。でも、どれも合わなかった。多分本番ではニューボールを使うってことも影響してると思います。球の散り方が変わるので。

 

佐:うん。ニューボールは変わるよね。私のブレイクも前半ダメだったでしょ? 前日練習であまりにスクラッチするものだから、応援団の意見も取り入れて、的球を見ながら打つブレイクに切り替えました。

 

米:今までどこ見てたの?

 

佐:手球だけ。でも、急遽替えた。もうそこまで追い込まれてたの。

 

米:へえぇ。私、どこも見ないからさ。

 

佐:いる! そういう人。全体的にぼんやり見てるんでしょ?

 

米:いや、どこも見ない。私、「岡島ブレイク」って言われてるの(※メジャーでも活躍した岡島秀樹投手。リリースの瞬間ホームベースを見ず、下を見る独特な投法で知られる)。

 

佐:???

 

ーー(悶絶)し、質問を変えますけども、今回のお2人の試合の勝負所は?

 

2人:(声を揃えて)第3セットの7番!

 

米:ゲームカウント6-4で私がリードしてた時です。残り7と9の2球で7をすっこ抜きました。誰が見たってあそこが運命の変わり目でしょう。

 

佐:中盤から取り切り体勢で、もう問題ない形。

 

米:で、7で普段選ばないショットを選んでしまいました。本来なら「殺し球」で優しく撞くところを、たまたまあの日それまで「弾き球」が2回成功してたから、そっちを選んでシュートミス。

 

ーー悔いの残る球ですね。

 

米:それはもう。自分の判断能力と経験値のなさを思い知りました。応援してくれてた早瀬優治プロ(JPBA)も「あそこは殺し球だったね」と。

 

佐:私もあれは優しく撞くね。

 

ーー米田さんのそのミスは、佐原さんとしてはラッキーだった?

 

佐:相当ラッキーです。ビックリしました。もう諦めてましたからね、あのセットは。

 

ーーそれで佐原さんがセットカウント2-1にして。

 

米:その辺から弘子の球が良くなったと思います。

 

佐:うん。だんだん自分らしい球が撞けた気がしますね。

 

ーーあの日の出来は100点満点中何点?

 

米:ブレイクを抜きにすれば70くらいかな。そこまでダメではなくて、アベレージくらいです。

 

佐:私は75くらい。飛び抜けて良くはないです。最低でも80は出したかったですね。

 

米:でも、後半は8~9割出てたね。

 

佐:うん、前半が6割だから合わせて75かな。

 

私のビリヤード人生、負けまくり

 

――2009年に女流球聖戦が創設された時、モチベーションは上がりましたか?

 

2人:もちろんです!

 

米:女子アマは全国タイトルが少ないので。ナインボールは『アマナイン』と『プレ国体』ぐらい? でも、プレ国体は4ゲーム先取なんですよ。ロングゲームと言えるのはアマナインしかなくて。それでも6先。

 

佐:そう。やっぱり長い試合をしたいよね。その意味でも球聖戦はずっと続いてほしい。挑戦者決定戦と球聖位決定戦は丸一日試合ができるじゃないですか。それが楽しいんですよ。

 

――お2人とも第1期の時から皆勤賞ですね。

 

米:もちろん!

 

佐:第1期は私はC級戦で落ちたんだぁ(笑)。

 

――球聖戦に出るとなると、いつ頃から意識して仕上げていくんですか? 前年末とか年明けぐらい?

 

佐:そうですね。

 

米:(笑)そう思ってないでしょ?

 

佐:いや、今回だけは。初の防衛だったから意識してました。

 

米:私なんて1ヶ月前くらいまでダラダラしてる。

 

佐:うん、私も他の年はそうだったけど(笑)。

 

――男子の球聖戦と違って、挑戦者決定戦と球聖位決定戦の会場が大阪の『マグ』で固定ですよね。 

 

米:特設っぽく準備して下さってて、本当にありがたいですね。応援団にこう何度も大阪に来てもらっちゃって忍びないなという気持ちはありますが(笑)。

 

佐:私もそれだけですね。自分のことはともかく、応援団のことは考えてしまいます。

 

――男子の球聖戦の場合は、防衛戦が球聖位のホームで行われるというところが一つの醍醐味ですからね。

 

米:そうそう。「球聖が関東の人なら防衛戦も関東でできたらな」と思わないでもないですよ。でも、色々な可能性を検討した上での今の開催スタイルなのでしょうし、マグさん以外だと開催自体ができないのかもしれない。運営の方々の尽力もわかっているので、そこは仕方のないところかな、と。

 

(※JAPA役員に確認したところ、「会場・人員など全ての面でビッグタイトル戦開催場所としての条件が整うのがマグなんです。これからもマグを女流球聖戦の聖地とお考え下さい。甲子園が関東に動かないようなものと思って頂ければ(笑)」とのことでした)

 

――さあ、最後に来年の球聖戦に向けての抱負を。

 

佐:防衛したいですけど、やっぱり球聖戦はフォーマットから言っても「その時一番強い人がなるもの」だと思うので、自分も一生懸命頑張るけど、自分以上に強い女流球聖が誕生することが楽しみでもあります。

 

米:大丈夫。私、今上手くなってるから。覚醒間近だよ(笑)。

 

――そういえば2人の公式戦での対戦成績は?

 

米:全然覚えてないですけど……弘子の方が上じゃない? 私の4勝6敗くらい?

 

佐:そのぐらい? アマナインとアマローテで私が負けてるのは覚えてる。

 

米:弘子の方が早くから公式戦で名前が知られてましたね。

 

――米田さんも抱負を。

 

米:私、勝っちゃいます。

 

佐:期待しています、上で当たれることを。今回は米田さんが来てくれて嬉しかったですからね。

 

――この機会にうかがいますが、若い世代では、19歳の小西さみあ選手が活躍していますね。

 

佐:ええ。この先、私、止められるかな。

 

米:私達が認めるどうこうのレベルじゃないです。上です。あのまま行ってほしいです。

 

――でも、球聖戦ではよく米田さんがさみあ選手に勝っている。

 

米:苦手意識はないです。さみあちゃんは上手いから、自分にワンチャンス来た時に集中できますね。私、執着心だけはあるんですよ。私のビリヤード人生、負けまくりなので(笑)。

 

佐:そう!?!?

 

米:そうだよ! だから頑張ってるの(笑)。

 

 

佐原弘子さん(左)はこんな人→

第4期・第5期女流球聖位

1977年10月21日生まれ。O型・天秤座

千葉県出身・在住。

スピリット1(千葉県銚子市)所属

プレー歴は約11年

 

米田理沙さん(右)はこんな人→

第3期女流球聖位、アマナイン優勝2回

1980年9月26日生まれ。B型・天秤座

東京都出身・神奈川県在住。

スミヨシ(神奈川県川崎市)所属

プレー歴は約12年

 

※取材時の模様は

こちらこちら

 

※女流球聖戦前の

佐原選手のインタビューはこちら