初めて物語/小川徳郎選手編

2015年12月

 

 

2015年は小川徳郎にとって

大きな一年だった。

 

初出場の『都道府県対抗』で

いきなりMVP獲得。

 

『第55期名人戦』では名人位獲得。

 

名実ともにトップアマとしての地位を

揺るぎないものにした。

 

遡ること13年ほど前。 

その小川のビリヤードとの出会いは

「リアル」ではなく「ネット」だった。

 

取材・写真・文/B.D.

 

 

――初めてのビリヤードはいつでしたか?

 

「中学に上がるか上がらないかの時です。僕の中では中1だったはずだけど、周りは皆、『小6だよ』と言うから、どちらかということで(笑)。あまり覚えてないんですよ」

 

――お父さんにビリヤード場に連れられて?

 

「そうなんですけど、実はその前に、家のパソコンでYahooのハンゲームで遊んでたんです。で、『本物がやりたい』って父親に言って、連れて行ってもらって」

 

――ホント!? それは面白い。ネット発のリアル・アマタイトルホルダーですか。

 

「結構みんなにも言われます(笑)。ハンゲーム、僕的には長いことハマってたような気がしたんですけど、父親曰く、『そんなにやってなかったよ』と(笑)」

 

――お父さんはビリヤードのことはよく知らない?

 

「学生の頃、遊びでやっていた程度なので、全然詳しくないです」

 

――親子で初めて向かった先は?

 

「『ロリエ』(神奈川)でした。その頃、僕はキューと同じくらいの背丈だったのかな(140cm台)。一応台に乗ったりせずに撞けました」

 

――その時、感じたことや思ったことは?

 

「なんだろう……。ああ、最初に気になったのは、別々の穴にポケットされた球が一ヶ所に集まるあの構造? ゲームではそこまで出てこないから、『このテーブル、一体どんな仕組みになってるんだろう』って思いました(笑)」

 

――そこ(笑)。手球はちゃんと撞けましたか?

 

「いやぁ、どうだったかな……。ただ、今も働いているHさんというスタッフに教えてもらったのはよく覚えているんですよね。構え方とか、『こうやってやるんだよ』って。それを見様見真似でやりましたね」

 

――初めてのビリヤードの後、すぐリピートしたんですか?

 

「そうですね。週1だったのが、週2になり、週3、週4になり……それでどんどん毎日になりっていう感じでした」

 

――一番最初のビリヤード場がロリエっていうのも良かったですね。明るくて広くて親子でも入りやすかったでしょうし、長矢賢治プロもおられたし。

 

「そうですね。上手いアマの人も多いですし、活気がありましたね」

 

2015東日本神奈川10ボール(ロリエ開催)
2015東日本神奈川10ボール(ロリエ開催)

 

――そこからプレイヤー志向になっていったきっかけは?

 

「試合に出始めたからだと思います。ビリヤードを始めて半年ぐらいでCB戦に出て、初戦から2回勝てたんです。2回ってのを今でも覚えてます」

 

――初めてで2回勝利ですか。上達が早かったんですね。

 

「そうなんですかね。とりあえず当時はセンターショットをよくやってましたよ。それと、CB戦に出るようになってから、『サイドナイン』(神奈川)で崎村さん(秀章プロ)さんに教えてもらうようになりました。基本的な部分が固まる過程で、崎村さんの存在は大きいです。今でも球の具合が悪くなったらよく相談に行きますし」

 

――当時、一人練習と相撞き、どちら派でした?

 

「両方ですね。一人で撞いてて、途中から店員さんが相手してくれたりとか。6時間撞いて1,000円というプランがあったから、よく利用してましたね」

 

――当時と今、プレースタイルは違いますか?

 

「プレーリズムは変わらないと思います。撞く時の素振りとか。当時も今も4回くらいしかしごいてない」

 

――タメのあるテイクバックや長いフォロースルーは?

 

「どうだったかな、覚えてないです。後々、E・ストリックランドとかを知って、フォロースルーの時のあの腕の巻き巻き具合とか悪影響を受けたかもしれません(笑)。あとは木菱健二さん(当時の関東トップアマ。ロリエ所属だったが今は撞いてない)の影響もあると思います」

 

――10代の頃の目標とかモチベーションの源って何でしたか?

 

「やっぱり球を入れて勝つってことなのかな。球が入って嬉しいって気持ちはあったから、そこが楽しさの根本にあったものかもしれないですね。もっと上手くなって、もっと入れて、試合に勝てるようになりたいって、CB戦に出ている頃から思っていたと思います」

 

――10代の頃、印象に残っている試合は?

 

「『世界ジュニア』は面白かったです。初めての海外、初めての世界大会! っていう感じで。オーストラリア、アメリカ、ニカラグアと、3回出ました」

 

――2008年に3位入賞しています。

 

「そう、それは2回目のアメリカ大会ですね。1回目のオーストラリアに行った時の、初めて日本を旅立つ、あの悲しいような心細いような気持ちを今も覚えてます。『ああ、離れちゃった。さよなら、日本……』みたいな(笑)。で、試合は速攻負けたという(笑)。

 

 その後、オーストラリアの観光名所を見るってことで、柴田裕介くん(後にJPBAプロになったが引退)と2人で電車に乗ったりしてね。動物園に行ったのは良い思い出です」

 

(了)

 

20歳の頃。2010全日本選手権9位タイ(ベストアマ)
20歳の頃。2010全日本選手権9位タイ(ベストアマ)

 

小川徳郎選手はこんな人→

 

1990年3月19日生

神奈川県出身、KPBA所属

2010年『プレ国体』優勝

2008年&2013年『マスターズ』優勝

2014年『アマローテ』優勝

2015年『都道府県対抗』MVP(神奈川)

2015年『第55期名人戦・名人位』

『世界ジュニア』3回出場(2008年3位)

 

 他、入賞多数

 

<<<No.4 小西さみあ選手編へ